地獄の訓練
-練兵場 食堂-
パティーさんも食堂で夕食を食べている。
この人もとい、ハーフエルフは、絶対ただ飯だよね。
「ジュジュさんもパーティーに参加したいのね。
あたいは冒険者ランクが3にあがるのでパーティーを組めなくなるの。
ジュジュさん、替わりにお願いねぇ」
今年は、熊の餌となる木の実の出来が悪くて、冬眠前の熊が人を襲撃する事件が頻発しているらしい。
膝が復調してきたので、フレッドと、熊退治のクエストをこなしすぎて、このままだと、私たちの再訓練が終わるころには3になるそうだ。
どんだけ熊が出没しているの。
パティーさんが抜けると、クリスとココに聖女のジュジュが加わるのか。
ココと私は壁役だから、攻撃手段が皆無なのに、回復力だけがあっても、敵を倒す方法が無いはず。
アンデット専門か?
アタッカーを加えるしかないでしょう。
「大丈夫でございますの。
明日から、わたくしの大叔母様が指導に参加していただけますの」
大叔母?祖父母の姉妹だっけ?
マックス師匠とどちらが年上か?
そもそも、指導でどうやったらパーティー攻撃力が上がるのでしょうか。
-10/11 帝国リバーサイド練兵場 訓練所-
「こちらが私の大叔母様のアニアさまですわ。
いつもは、聖女養成所で聖護身術を指導されていますの」
翌日の朝、ジュジュに紹介されたアニア大叔母様は、外見が20代後半の人間女性だった。ジュジュの曽祖父は高齢になってもお盛んだったのだろうか。
「アナスタシア・ド・フレジュスです。
クリス、カティーお久しぶりです。
ほかのみなさま、はじめまして。
ジュジュの7代先祖の妹ですわ。
みなさまに、魔闘法を教えて差し上げます」
7代?
いくつなのだろうと疑問に思っていたところ、マックス師匠がアニアさんを見つけて挨拶をしていた。
「わが師、アナスタシア様
ご無沙汰ぶりです。
初めてお会いした40年前から、お変わりなく美しいです。
私もここ2、30年は老化が鈍化しております。
これもわが師のおかげでございます」
マックス師匠のお師匠さんで、40年前から外見が変わらないのか。
女性に年齢を聞くのは野暮かなと思っていたら
「老衰前の聖女様が、聖女養成所に挨拶にいらっしゃった時に、『昔と変わらないお姿で』と言われていたのを聞いたことがあります。
確か180歳くらいと聞いたことがあります」
クリスが小声で、教えてくれた。
180歳って、ああ、7代前と計算があいますね。
さて、優しいおばあちゃん先生の指導と思っていたら、待っていたのは地獄だった。まず、アニアさんと槍VS素手の模擬戦でぶちのめされた。槍の突きも叩きも手で止めるとか反則でしょ。
マックス師匠も、アニアさんの居る前で格好をつけようと、基本動作で少しでも無駄があると、昨日までと違って厳しく叱責して修正させる。
2、30分に一回は治療を行わないといけない過酷な修行になった。
たまに、カティーも捕まって特訓させられるが、直ぐに、『妾の助けを待っている怪我人がいるのじゃ』と言って、逃げてしまう。ロロとニニは、視界にすら入らない。
「養成所の時は、サボる人が多かったんですよ。
でも、あの時は、今よりずっと楽でした」
訓練終了後、クリスが息を切らせながら教えてくれた。
-練兵場 食堂-
いつもの単調な味の夕食を済ませたところ、
「さて、みなさま。
いまから、気を練る修行を行いましょう」
はぁ?
これからまだ修行するの。
明日からは休暇日だ。もう少しの辛抱だ。
-訓練所-
気を練る練習が終わったころ
「明日の休暇日は、パティーさんの小屋を拝借させていただきます。
月月火水木金金。鉄は熱いうちに打て。
かつて異世界から来た御仁が残された名言でございます」
アニアさんの一言で我々の休暇日は消滅した。
「お、お休みの時間はありませんの?」
ココは最後の言葉を出し、気を失った。
ココは、アニアさんが担いでいったらしいが、私は、どうやって宿舎に戻ったか覚えていない。
休暇日はパティーさんの小屋、訓練日は訓練場で地獄の日々を送った。
地獄の日々を共に過ごすと戦友と言う言葉も生まれるが、会話する気力すら残っていなかった気がする。
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