鑑定とたらい回し
初投稿です
誤字脱字や、言葉遣いが間違っているところがあったら教えてください
-リバーサイドへの道-
歩きながら周りを見渡すと、大きな河が見える。
河は、台風の時の様に濁った色で、流木とかも流れている。
なるほど、私が上流で遭難して流されたと判断されて間違いなさそうだ。
もっとも、私には、ここの上流にいた時の記憶はない。
考えても仕方がないので、そのままリバーサイドと言う名前の町に向かう。
リバーサイドまで歩いていくが、日本の田舎に比べるとかなり違いがある。
日本の田舎だと、田んぼが続いていても、舗装道路に電柱と街灯があり、家屋も、周囲に溶け込まない奇抜な住宅やビルなど、景観によろしくないものが沢山ある。写真で撮ったら、フォトショップで加工したくなる。
ここは、主要な街道は舗装されているが、それ以外の道は未舗装だ。しかも、無機質な直線でなく、地形に合わせたアップダウンや曲線がある。麦畑や里山が見え、遠くには山も見え、ミラーレスカメラが欲しくなる。
気になるのは、山の麓が見えることだ。たしか、地球球面説では、船が港に近づく際、山頂から見えるという話だったはず。陸地側からだと、船の帆先が先に見えて、船体が見えるのは最後になる。
山の麓が見えるということは、この世界が平面か、よほどデカいか、目の錯覚のいずれかだろう。下手なことを言ってブルーノの様に火炙りになりたくないから、黙っておこう。
-リバーサイド-
しばらく歩いて、リバーサイドに着くが、アルゲティー帝国の首都だけあって、凄く大きい。
街の周囲は外壁に覆われているが都市の成長に追いつかないため、外壁の外側にも集落がある。
城門で衛兵に身分証の提示を求められたので、仮身分証を提示して、中に入れてもらう。その際に、大通りをまっすぐ行くと、仮身分証の右上に書いているマークと同じ看板を出している建物があるので、其方に行くように指示された。
大通りは石畳で舗装されており、中央に馬車用の車が4車線あり、両端に歩道があり、屋台も並んでいる。道路傍の建物は、石造りの3階建ての建物が色と高さを統一して並んでいる。大きな交差点はロータリー上になっており、きちんとした都市計画が行われている。
この風景もミラーレスに撮りたいなぁ。
いきなり、カルマが下がって投獄されたくないし、市民鑑定登録所に向かうことにした。
まるで、コンピューターRPGでよくある序盤の強制イベントみたいだ。
門番に言われた通り大通りを歩いていくと、仮身分証の右上のマークと同じ看板のある建物がある。
外観は、石造りの3階建てで、正面の大きさは、コンビニを2つ足したくらいある。
-市民鑑定登録所-
市民鑑定登録所に入ると、人の出入りも多いし、室内の看板が読めないので、どこで何をすればよいのかわからない。
入り口で、突っ立っていると、人当たりのよさそうな、おばちゃんに声をかけられた。
「ここが初めて見たいだね。
失業して仕事を探しに来たのかい、それとも身分証の再発行かい?」
初めて来る人は、すぐわかるのかな。
「日雇いや短期の連中は、まっすぐ求人コーナーに向かうから、すぐ見分けがつくのさ。
で、身分証の再発行と職探しのどっちかい?」
なるほど、常連さんと初心者で行動が違うのね。
それなら、すぐ判別ができそうだ。
先ほど皮鎧からもらった仮身分証を出したところ、鑑定盤の前に案内された。
30センチ四方の白い板の前に椅子があって、そこに座る。
目の前に座ると、白い板が淡い光で輝きだす。
鑑定中は、椅子に座ったままになるのだが、時間がかかるため、おばちゃんが鑑定盤の話をしてきた。
その話を要約するとこんな感じだ
鑑定盤は300年前に発見されたが、表示される言語が理解できず価値が無かったそうだ。
最も早く解析できたのは、全ての人が持つ能力値とカルマだった。
その後、母数の多いスキルから徐々に解析が進んでいるが、解明されていないスキルも多数あるそうだ。
また、スキルレベルはレベルの上昇の仕組みが、いまだに解明されていないそうだ。
カルマは、数値だけでなく、最近の増減が2段階でわかるそうだ。
悪事を働くとカルマが一気に下がるうえ、最近の増減で減少と表示されて、容易に判別ができるので犯罪は少ないらしい。
240年前の伯爵領時代に、役人に鑑定盤を使用した。
汚職や賄賂を要求する役人はすぐに鑑別できたため処分したところ、税収が増えたそうな。
次に、領民に鑑定盤を使用し、それぞれを適切な仕事に割り振っていき、国力が増強して帝国になったとのこと。
200年前に、簡易型の鑑定紙が発明され、表示言語を帝国共通語にして、鑑定を容易に行えるようにしたところ、帝国外にも、あっという間に普及したそうな。
職業の最適化の手段を国外に流出させたら、帝国にとってデメリットと思い聞いた。
周辺国は既得権益を持つ勢力とそれに不満を持つ勢力が対立し内紛が起きたため、その間隙をついて帝国が勢力を拡張できたとのこと。
そんなお話をしたころに、鑑定の結果が出た。
「Lvが1.2かい!?
10歳の子供でも4から5はあるよ。
スキルも魔力操作Lv1と不明スキルのみかい。
精霊親和度0なのに、魔力操作が1あるって何をしたのかい?」
なんか、凄いことになっていそう。
自分で確認してみると
能力値
Lv 1.2G
STR 19M
DEX 4.1M
AGI 26G
VIT 53M
PIE 0
MND 8.3T
RES 451G
HP 743M
MP 9.4M
スキル
魔力操作 1
自然科学 2
人体解剖学 1
量子物理魔法 1
まさかの日本語!?
そりゃ、この世界の人が理解できないわけだ。
能力値の末尾にGとかMとかあるけれど、まさかギガやメガではないだろうね。
ギガは10の9乗だから、私のレベルは、1.2ではなくて、1.2×10^9、つまり、1,200,000,000だね。漢字で書くと12億。滅茶苦茶だな。
ほかの能力値を再確認しようとしたところで、白い板が何も表示しなくなった。
日本語表示とギガの驚きもあって、LV以外は、記憶に残っていない。
身分証を渡されたが、こちらは私が見たことのない言語だった。
おばちゃんは、身分証が読めない人も多いよとニコニコしながらフォローしてくれた。
おばちゃんによると言語読解スキルのある人は3割ぐらいらしい。
成人男子は、だいたいLv10-20位で、能力値の高いものは30位になるらしい。
PIEは精霊親和度で、7割の人が0で、これが10を超えると精霊魔法が使えるらしい。この数字は、レベルが上がっても増えも減りもしないとのこと。
LVと能力値の関係は解明されていないらしい。
さて、仕事だが、ここは、メジャーなスキルを有している人が対象らしい。
別の場所の職業斡旋所に行かなければならなくて、職業斡旋所のマークの書いた木の板を渡された。
異世界に来てまで、職業斡旋所をたらい回しされるとか、どんな罰ゲームだろう。
読んでいただきありがとうございました