土下座
初めての作品です
誤字脱字、用句間違いなどがありましたら教えてください
-脱出口-
食べ物の心配がなくなったので、ようやく移動することができる。
パティーさんの提案で、最後に寄ったクレアモン村の一つ前の村を目指して移動することにした。
なぜ、クレアモン村の一つ前の村なのか。
現在地とクレアモン村の間に、ゴブリンの洞窟がある。
迂回しても、ゴブリンと遭遇するリスクがある。
それに迂回すると、クレアモン村でなく、その周辺の街道に出る。
それならば、クレアモン村を目指すよりは、街道にたどり着いて集落を探す方が効率的だそうだ。
-街道沿い集落での鎮魂-
街道にたどり着いたのは、野営地を出発した翌日だった。
そのまま街道をリバーサイド側に進み集落に着いたのは夕方だった。
まだ、日が暮れていないため、集落に人がいる。
「宿場町でない集落に何か用ですかな」
明らかに警戒されている。
ゴブリンから逃げ出して5日間、体を拭く程度で、洗濯はできなかった。
山賊や物乞いの方が、もう少しましな格好をしているだろう。
「ゴブリン討伐に行って返り討ちにあったのです。
できれば、一晩だけで良いので泊めていたけませんか」
丁重にお願いしたけれど、やはり警戒されている。
男達がクリスをチラチラ見ている。
「ところで、そちらの方は聖女様ですか?」
お約束の定番キター。
あ、胸を見たら、聖女とわかるわけだ。
見知らぬ女性に、聖女かどうか確認するために、胸をチラ見しても良い、世界なのかもしれない。
フレッドさんに再会したら教えてあげよう。
「はい。聖女養成所を卒業したばかりですが、私でよければ」
赤子を抱えた女性がやってきたので、子供の治療かな。
なぜか、その女性にクリスは家の中に招き入れる。
あれ?子供は目の前にいるでしょ。
クリスは20分ほど経って出てきた。
服装も、村人から貰ったものに着替えていた。
女性のおじいさんが亡くなったので、鎮魂をしていたようだ。
元の世界の聖職者と同じこともするようだ。
クリスが、田舎だと修行中の聖女に依頼することが多いと教えてくれた。
-パティーさんの覗き-
私達も、着替えを貰い、空き部屋のある住民の家に泊めてもらった。
部屋で、いつもの治療を行う。
「女の胸を治療の名目で触れてうれしいねぇ」「このまま押し倒したらだめだからね」「クリスちゃんの胸は大きいでしょ」「胸の触り心地はどう?」
治療の補助に慣れてきたので、パティーさんが治療中に、セクハラまがいの発言が飛ばしている事に気が付いた。
「魔力の使い方に慣れてきて、周りの様子が分かってきたときには、今日みたいなことを言っていました。
集中しないと治療ができないので、聞こえないふりをしています」
クリスが私にだけ聞こえるように囁いた。
昨日の茸の件と言い、このハーフエルフはいったい何を考えているのだろうか。
治療が終わった時、「ここの傷跡が、見えなくなっているね」とチェックが入った。
治療中は精神を集中しているので、傷の治り具合まで気が回らなかった。
「フィル君は治療に集中しているから、どこまで治ってきているか、わからないでしょ。
クリスちゃん、聖女のスキルのレベルによって、治療に差があるはずよね?」
パティーさんは、聖女の知識があるのかな。
傷がなくなって、綺麗な肌に戻って欲しい。
治療前の肌は見たことが無いけれどね。
「えっと。
たしか、大きな怪我の場合、スキル2だと傷跡が残ります。
スキル3になると、傷が残らないと聞いています。
傷跡は残っていますので、私の聖女スキルは2でしょうか。
たぶん、パティーさんの膝は、3ないと完治できないと思います」
クリスが聖女の知識を元に推定している。
パティーさんは、自分の膝が気になって、治療の様子を観察していたのか。
二人のために、クリスが3になるように手助けをしたい。
「鑑定をすれば確定できるけど、簡易鑑定でもお金がかかるでしょ。
傷が残るなら、リバーサイドの高レベル聖女に頼むしかないのよ。
で、フィル君は、いつまで胸を触っているの?」
パティーさんがニヤニヤと俺を見ている。
慌てて手を引っ込める。
この世界で土下座が通じるかわからないが、土下座で謝る。
静かな室内に。服を着ている音だけが流れる。
完全な沈黙の後、クリスが耳元で囁いた。
「あの、頭を上げてください。
私の治療のためですから、フィルが卑下する必要はありません。
過剰な反応をするほど、あの人の思うつぼです。
もう、治療中は、他に人がいないと思いましょう。
じゃないと恥ずかしいから」
よかった、怒っていない様だ。
恥ずかしがっているクリスも可愛いなぁ。
そして、元凶は、すでに寝ていた。
喰えない人だ。
お読みいただきありがとうございました
次回は、ゴブリンとの戦闘で別れてしまったフレッド側のお話です。




