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疲れてしまったこと。

作者: 藤堂麦

初投稿です。

「きみに疲れてしまった」という言葉を聞いたことはない。それは彼らが優しかった証拠なのだろうか。

私は最近、自分について気づいてしまったことがある。つらい時に彼らに対する態度や言動が、とても幼く愚かだったこと。彼らは私に向き合ってくれていた。それに今更気づいてしまったのだ。


私は悲劇のヒロインでも弱った可哀想な人でもなく、ただの屑だったと、彼らの優しさに気づいた時に自分をまた嫌いになる。

少しずつ自分が気持ち悪く感じる。縋り付いていたアイデンティティがすり減っていく。


疲れてしまった。自分自身に私が疲れてしまったのだ。

今日も過去を恥じて、空っぽな自分に嫌気がさす。残っていたのは彼らにつけた傷と醜く弱った自分だけだった。生きている意味を感じず、生きてきた意味も感じなかった。


これまでは何か苦しかった証拠のように思っていた、焼けただれたような腕の傷を見て、これ見よがしにつけたアピールのように思った。彼らに気づかれているとしたら、そう思われているのではないかとも思った。

赤くグロテスクに私に根を張っているようなそれは、これからの人生を確実に阻んでいる。それもそうだ。過去の私が、死ぬことを見据えて、これから生きていくことを困難にするためにつけた傷なのだから。今日もまた私は私を恨んでいる。過去の色々な私を恨んでいる。


これまで生きていたいと少しは強く思っていた。だけどもうやめよう。これまで何百と考えてきたことを実行しよう。

周りの優しい人達にたくさん感謝しながら、そして謝罪しながら、たくさんの薬を酒で流し込む。吐き戻しそうになりながら、ぐにゃぐにゃになって遠のいていく意識の中眠りにつく。


「今まで本当にありがとう。今まで迷惑をかけて本当にごめんなさい。」


誰にも届かない思いを口にして、自分だけ楽になるよ。

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