バーチャルに生きる者たち
3次元の時代は終わった。
誰かがそう言った。
人はもはや娯楽の中ならば生身の肉体を捨て、ポリゴンでできた電子の肉体に魂だけを宿し、仮初の姿で生きていいと。
ここならば現実に存在する、人を縛る数々の問題から解放されて、誰もが人気者になれると。
そんなことを初めに言ったのはどこの誰なんだろう。考えたのはどこの誰なんだろう。
アニメや漫画の世界に飛び込めたら。その世界のキャラクターになれたなら。
人々が今まで口にするだけで、不可能だと思い込んでいたそんな願い。それを形にしようとした人がいた。
そうした先駆者が夢を現実にしたのを見て、たくさんの人々がそれを追った。
ある者は自分でその夢を叶えようと努力した。ある者は今あるコンテンツで着々と夢を叶えるための技術を磨き、とにかく人の目に留まるよう努力した。またある者は、その夢を叶えてくれる力ある者に自分を売り込んだ。
すべては自分にとって「理想」となる肉体を手に入れ、新たな自分を生みだすために。
そして仮想の世界で新たな自分の居場所を作り出した。
世を忍ぶ仮の姿、Virtualを携え。
ネットの世界でたくさんの人々を魅了し観客として動員し、夢を与える。
それこそが俺たち、
────────Vtuberなれば。