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アラフォー 巻き込まれながら何とか生きていきます

失職中の45歳のアラフォーのおっさん

水藤ミナフジ 重蔵ジュウゾウ


買い物しようと街まで出かけたら

いきなり異世界に迷い込んでします。


色々な人たちに出会い助けてもらいながら

ゆっくり生きていく物語です(たぶん)






 ある春の日の朝、失職中の俺は気分転換に街で放浪することを決め電車に乗った。

「早く次の仕事決めないとなぁ」

 溜息をつき憂鬱な気分になりながらスマホを見ていた。


 俺は 水藤 重蔵

 読み方は ミナフジ ジュウゾウ

 大層な名前だが 普通の四十半ばのサラリーマンだ

 いや、だっただな。


 俺がいた子会社の工場部門が老朽化と利益悪化を理由に

 急に閉鎖を通知された。


 すぐに本社の人事担当者が来て全員に面接を始めたが

 残る社員はほぼいなかった。

 そりゃそうだろう

 経常利益がわんさか出ていた時期に設備投資しないで、

 会長自ら銀座の女に貢ぎまくってたらしいからな。


 俺もあほらしくなって会社を辞した。

 バ会長とセクハラ、パワハラ満載のイエスマン重役連中の下で

 こき使われるのは嫌になったんだよ。


 幸いなことに、同系列の大手に閉鎖の話がすぐに漏れたらしく

 スカウトが来て大体の社員はそこに再就職していった。

 ブラックで超絶有名な会社だが、まあみんな頑張ってくれ。


 そんなこんなで再就職活動中な訳だが

「気分転換でもしないとやってられん」

 と今に至る。


 改札を出てエスカレーターを降りた瞬間に目をしかめた。


「なんだこりゃ、ものすごい霧だ。」

 駅前広場にでると、隣に人が歩いていても分からない位の濃霧だった。


「キレイなお姉さんとでもラッキースケベ起きなればいいのに。」

 と邪な思いを抱きながらショッピングモールの横を歩いていると、

 濃霧の中なのに辺り一面に花が咲いているのが見えた。


 その花はアクアマリンの様な透明感のある綺麗な青でほのかに輝いていた。


「はぁぁー?」

 脳が一瞬、フリーズした。

 そのまま前へ歩こうとした瞬間、額にものすごい痛みが走った。


 声にならない叫びをあげて地面の上を転げまくった。

 しばらく転げまくっていたらようやく痛みに慣れてきた。


 血が少し出ていたのでポケットティッシュで押さえながら

 ぶつかった物を見てみたら枝の折れた黒い樹だった。


「木? 何でこんな処に木が生えてるんだよっ!」

 しかも折れた枝の部分がもろささくれ立っていてかなり固い。

 おでこに木片が何個か刺さっていた。

 そこで気が付いた。

 先程まで見えていた花畑も無く、森の中の開けた場所にいることに


「待って待て待て待てっ」

 なんで駅前歩いてたのに森の中にいるんだよ。

 完全なパニック状態である。

 ぶつかった拍子にバッグとスマホを落としたみたいだがそれが無くなってるのも

 パニック状態に拍車をかけた。

 財布も無くなっていて完全無一文状態である。


 しばらく呆けていると後ろのほうから声をかけられた。

「お前さん、こんなところで何している?」


 見慣れない服を着た、たぶん同じぐらいの年のおっさんだった。

 ちょっと短めの金髪のかなりがっしりした男だった。

 少し離れたところから警戒しながらこっちを見ている。

 まだ呆然と、痛みの残る額を抑えながら、

 気が付いたらここにいたこと、財布も荷物も無くなって無一文であることを説明した。


「なるほど、お前さんは ”彷徨い人” だね。

 私の名前はゴードン、商人をしている。

 警戒して済まなかったね。」

「馬車で街まで送ってあげるから乗っていきなさい。」

 と謝りながら馬車の上でいろいろと説明してくれた。


 自己紹介をした後、この世界の説明を受けた。

 言葉が通じるのは、言の葉の女神の祝福があるからで

 この世界の大体の種族で共通らしい。

 逆に女神の逆鱗に触れたものは一切意思の疎通が通じなくなるらしい。

 女神様まじパネぇっす。


 この世界は様々な神様がおり、主神ゼントースをはじめ八大神や季節の神、細かいものは

 その土地由来の神様など数え切れないらしい。

 詳しく知りたかったら神殿に行って話を聞いてくれと言われた。


 この国はカリコール王国といい、肥沃な土地に恵まれ農業大国として栄えている

 俺がいた森は、王国の東にあるカストール辺境伯領の迷いの森といわれる所で

 過去に何人か彷徨い人が現れている。

 迷いの森は魔獣があまりいない為、この辺境伯領は商業の要として

 貿易で栄えているそうだ。


「あぇ、魔獣なんているんですか?」

 びっくりしながら話を聞くと


「ええ、この辺りは角うさぎや甲羅狸など小型の魔獣と普通の鳥獣類ですね。」

 とゴードンさんは説明してくれた。


 また迷いの森で人が消えるなどのいくつもの逸話があるため野盗も寄り付かず

 街道も整備され巡回兵もいるため平和そのものだそうだ。


 ちなみにケガしていた額は、軟膏を塗ってもらってすぐに治りました。

 この世界の薬、まじやばいな。

 塗ったらすぐに切れてた額がかさぶたも無くきれいに治ったよ。

 ポーションなんかもあり、最高級品は肉体の欠損や失われた臓器まで復活させるらしい。

 ポーションまじパネェす。


 いろいろ教わった後にお礼を言った

「ゴードンさん、本当にありがとうございます。

 あそこで声をもらえてなかったら、どうなっていた事やら」

「困っているときは助け合わないと大変ですからね。」


 ゴードンさんマジ神様、後光が見えるよ。

「それに辺境伯様が、彷徨い人の保護もしていて助けた者にはかなりの報奨金も出ますから

 ジュウゾウさんは気になさらなくて大丈夫ですよ。」

「商人としてはいろいろおいしいですから」


 辺境伯様につなぎができるとかいろいろ台無しだよ、ゴードンさん!

 俺の感動を返せ!


「ではこのまま領都へ向かいますね。夕方の門が閉まる前には着きますから

 今日は我が家に泊まってもらい明日にでも領主様にでも報告しましょう。」

 俺がいた場所は領都から比較的近く、馬車で半日くらいの場所らしい。

 水も食料も無く街道の方向もわからず歩きだしていたら行き倒れになっていたよ。

 俺の方向音痴は群を抜いているからな。

 ちょっとした買い物で山手線2周したのはいい思い出だ。


 話がずれたが、

 途中で少し休憩を取り水と食料を頂き、馬車に揺られていると日が沈む前に街に着いた。

 門の前には2つの列があり短い列に馬車を着けた。


「こちらの列はこの街に籍がある住人専用です。すぐに終わりますよ。

 ただ衛兵に事情を説明してきますので少し待っていてもらえますか?」


 俺はすぐに了承し、よろしくお願いしますとゴードンさんにお願いした。


 しばらくして衛兵の一人が走っていくのが見えてゴードンさんが兵士を一人連れて戻ってきた。

「事情説明は終わりました。安心してください。

 領主様には、兵長さんから説明してくれるようです。」


 少しごつい胸鎧を付けた兵士さんから話しかけられた。

「あなたが彷徨い人のジュウゾウさんですか?

 わたしはここの門の責任者で兵長をしているサガットといいます。」

「ゴードンさんから話を聞きましたが、ジュウゾウさんからも少しよろしいでしょうか?」


 俺はサガットさんに森にいた事、所持品が無くなって無一文なことを説明した。

「彷徨い人が前に現れたのが90年前になります。その時の報告書通りですね。

 判りました。領主様にはこちらから報告しておきます。

 ゴードンさんの家で今日は保護してもらって、

 明日こちらから迎えの馬車が行くことになると思います。」


「分かりました。そのように手配お願いします。

 ジュウゾウさんは今夜ゆっくり休んでいただきますね。」


 サガットさんとゴードンさんの話がまとまったようだ。


「サガットさん、ゴードンさん本当にお手数をおかけします。

 この後もよろしくお願いします。」

 俺は二人にたくさんの感謝を込めて頭を下げた。


「ゴードンさん、迷惑をおかけしますが今日はお世話になります。」


 ゴードンさんにもう一度お礼の言葉をいい、お世話になることを決めるのであった。



































初めての投稿作品です。

生暖かい目で見ていただけると幸いです。


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