(超絶イケメン)神様の試練ですか?
膨大な量の情報が頭の中を駆け巡ります。
それとともに途切れ途切れに映る映像。
その全てが転生を繰り返してきた事を示していました。
あぁ、だから……
すとんと私の中で全てが落ち着きます。
……でも、この人は?
超絶イケメン様はそっと額を離し、柔らかく微笑みます。
「そうですね。一葉の意識がはっきりしている状態で会うのは初めてですから」
私の頬から手を外した超絶イケメン様は、小首をかしげ(何故か似合いますけど)こう宣いました。
「私は君達が言うところの神様です」
「………………」
首を傾けたせいでサラサラと肩から溢れた金髪は、多分腰ぐらいまでありそうです。
着ている衣装は、まるで教会の天井に描かれた神様の様に、光沢のある白の一枚布を紐でくくってありました。
月桂冠こそかぶってはいませんが、麗しのご尊顔と相まってキラキラと溢れるオーラが本物だと主張しています。
あまりにも非日常すぎて理解する事を拒否していましたが、この人が『神様』でしたら全ての辻褄が合うのです。
「今まで何度も転生してきたのは、神様の試練なのですか?」
私の言葉に超絶イケメン神様(長くなった)は、ほんの僅かな苦痛らしきものを瞳にのせました。
「応とも否とも言えるかな?」
何か規則の様なものがあり、言えないのかもしれません。
私は質問を変えました。
「また、転生するのですか?」
先程流れ込んだ私の過去は生まれ変わる度に、私に害意を向け執拗に狙う何かと関わり続けてきました。
何かに出会う年齢はまちまちですが、その何かと私が間接的、直接的に接触すると、周りの人達の運命が大きく動きます。
その瞬間に、その人生が唐突に途切れています。
その後の事は私にはわからないですが、そういう事なのでしょう。
今の今まで、何度も転生をしてきたとは知りませんでした。
それを理解した今、多すぎる過去の人生の記憶の中で、関わった人達に対する感傷がないわけではないけれど……
今はどうしても、私が居なくなった後の事を知りたい人達がいます。
……私の中では、ほんの少し前の出来事なのです。
これ以上ないくらい慈しんでくれました。
温かで柔らかく優しい愛情を、惜しみなく与えてくれました。
『一葉』
あの人達に呼ばれる事が好きでした。
『一葉』
あの人達の笑顔が私の喜びでした。
つらく重く鉛の様な想いを飲み込んで問います。
「一葉のパパとママはどうなりましたか?」
ああ、もうあの大好きなパパとママには会えないんだ。