王都前哨戦
みんなで朝食を食べていると、美咲とソフィアがニヤニヤしている。知里が妙に機嫌がいいから、察したのだろう。
「知里お姉ちゃん、何かいいことあったの」
芽衣は無邪気に聞く。
「う、うん。どうかな〜」
知里は赤くなり、焦りながら誤魔化す。
転移する前に、
『沙奈たちは留守番だ。馬の世話を頼むぞ』
『うん、わかったわ』沙奈
『我が馬の世話なぞ・・・ごっ』
葵の頭を拳で沙奈が殴る。
『お任せください。誠心誠意お世話させて頂きます』葵
俺はフッと苦笑したあと、転移した。
先にエナメル神殿で、美咲とソフィアのステータスを確認する事になった。
確認するとフラン王都近くの空き地に転移する。案の定ゾンビで溢れかえっている。まずは周辺の安全を確保するために、エアバーストを連射してゾンビを吹き飛ばしていく。
(とりあえず俺一人で来て正解だったな)
安全エリアを確保しながら、魔力を練り上げ
「スターダストレイン」を放つ。
光の塊が辺り一面に降り注ぐ。アンデット系に効果は絶大で、光の塊一つ一つがゾンビを倒していく。
すかさず転移してみんなを連れてくる。
「よし、殲滅するぞ。俺とメルが壁になる。知里たちは魔力を練り上げて、範囲攻撃をしろ」
「うん、わかったよ」「わかったわ」「おっけー」「見ててね、シン」芽衣
4人が魔力を練り上げ、
ソフィアの攻撃
「ディバインランス」を放つと、
無数のキラキラと光る槍が直線軌道上のゾンビたちの体に穴を開ける。1回のスキル発動で30体くらい倒す。
美咲の攻撃
「氷牙紅蓮刃」刀を水平に大きく振る。すると
炎と氷の属性を持つ大きなヤイバが飛んでいく。ゾンビたちに当たった瞬間、そのヤイバは相反属性のため爆発する。こちらも30体くらい倒す。
知里と芽衣の魔法
「ホーリー サンシャイン」30〜40体
「サイクロン」20〜30体
この繰り返しで、1万体程倒しただろう。
「全然減らないわね」美咲
「キリがないわ」ソフィア
「昨日のすごいので、バーンとやっちゃおうよ」
「芽衣、そうしたいんだがな。王都を吹き飛ばすわけにはいかないだろ」
「それもそうだよね」
「よし、王都を氷漬けにするぞ。ソフィア、美咲、メルと芽衣をあの丘に転移で連れて行ってくれ。できるな?」
「「うん、やってみるわ」」
メルと芽衣を連れて転移出来たのを確認すると、知里を連れてソフィアたちのところに転移した。
「すっごいね、美咲お姉ちゃんとソフィアお姉ちゃん。いつの間にあんな凄い技出来るようになったの?」
美咲とソフィアは微妙な顔になり、
「う、うん」ソフィア
「ごめん、私人間辞めてるから・・」
美咲が小さな声で呟く。
「そんなことより、芽衣の方が凄いよ。いつの間にサイクロンなんて覚えたの?」
誤魔化すように美咲が聞く。
「えへへ」
「芽衣ちゃんはいつも裏庭で練習してるもんね」
知里が芽衣を褒める。芽衣はシンに褒められたくて、練習していた。
「ほんとに芽衣は凄いな。驚いたよ」
と言って頭を撫でてやる。
「うへへ〜」
みんなに少し待ってろと言って、さっきの空き地に来た。そして、魔力を収束させていく。
(この王都は10km四方といったところか)
前方に向けて、
「ニブルヘイム」
《戦略魔法 範囲内を氷漬けにする》
王都が凍りずく。
そして知里たちのもとに戻った。
「すっご」ソフィア
「すっごいね」芽衣
「やったんじゃない?ふふふ」
美咲がわざとフラグを立てる。
「お前な、まあいい。どうせリッチの親玉だ。このくらいではいくらもダメージがないだろう」