芽衣の迷子探し
エナメルーフラン街道
昼過ぎに料理が全部揃い出発した。
サナは御者が出来るらしいので任せた。その隣にメルが座って索敵している。
「エバニアの馬車より乗り心地がいいわね。やっぱりチキュウの知識のおかげなの?」
「たぶんな。おれもそんなに詳しくはないんだが、サスペンション・・振動を伝えないようにする装置が取り付けられているんだろうな」
中は左右と後ろに3人掛けのソファーが設置されていて、ゆったり出来る。
「ふーん。椅子のクッションもいいわ」
ソフィアは初めての長旅だから、遠足気分なんだろう。他の子たちもそんな感じだ。
「でもさ、私たちの実績ってすごかったんだね。ガンテさん言ってたもんね」
芽衣が思い出したように、俺の横でじゃれつきながら言う。
「そうだな、俺たちの達成率はほぼ100%だからな」
「そうね。失敗したのは芽衣がどうしても受けたいって、言ったあの依頼だけだもんね」
ソフィアは思い出したのか、フフって笑っていた。そう5歳の女の子の依頼だった。報酬はその子のお小遣いだから、誰も受けず残っていたものを、芽衣が見つけてきた依頼だった。
「あれは大変だったね。迷子の子猫をこの広い王都で探すのは。メルちゃんは能力全開で探してたんだよね」
メルは猫派らしい。知里も思い出して微笑する。
「10日も探したのにね。私あの子に謝るの辛かったよ」
芽衣も微笑する。
「芽衣、お姉ちゃんぶってるけど、側から見ると同じ背格好なんだから、友達同士にしか見えなかったよ」
と、美咲が茶化す。
「私そんなに、ちっちゃくないよっ!!」
って頬を膨らませる。
その後ひょっこり戻ってきたらしく、ギルドに「お姉ちゃんたちありがとう」と伝言があって、いい笑い話になったのだ。
途中で御者を代わり、ソフィアが覚えたいと言って、御者を教えながら馬車を走らせる。フランまでに街は二つあり、最初の街は明日の夕方に着く予定だ。
「そろそろ日も暮れるし、帰ろうか」
「そうね」
馬車からみんな降して、馬も連れ帰った。
夜中、森に様子を見に行くと、わらわらとスケルトンが湧いていた。
ドームにサナを連れてくると、目を丸くしてキョキョロとあちこち見ていた。知里がご飯を作っている間に、順番にお風呂に入ったのだが、芽衣とメルとサナがお風呂に入るとき、サナがポロポロと涙を零していたと後で聞いた。多分こちらの世界に来て、初めてお風呂に入れたのだろう。サナはご飯をみんなと一緒に食べた時、とても幸せそうにしていた。サナも一部屋割り当てられ、ベッドに寝転がる。
そんなサナの脳内では
(ヤバイ!もうこのパーティから離れたくないわ。特にお風呂、そうお風呂 風呂よ風呂・・・シン君をこの魅惑のボディで籠絡するか・・・って、このお子様体型じゃ無理だ。まあそのおかげで、子供と間違われて助かってんだけどさ。あーーもう!何も思いつかんわっ!)