永遠の伴侶
冒険者2年目
シーラたちと別れてから5ヶ月が経つ。
その間ギルドからの依頼も受けて、知里たちは着実に強くなっている。
今日はみんな買い物をしたいからと、エナメルに連れて行った。知里だけ庭の手入れをしたいからと残っていた。
俺はそろそろ知里には、話しをしようと考えていたので、ドームにもどる。
庭にいた知里に、ベンチでお茶をしようと誘う。
「知里たちと知り合ってからそろそろ1年経つな」
「そうだよね。この1年色々とあったけど、ほんとあっという間だったよ」
「俺から見て、知里たちは強くなったと思うよ。冒険者としても俺がいなくてもやっていけるだろう。一人前になったと思う」
「・・・それって、聞かせてくれるってこと?」
知里が期待に満ちた目で見る。
「ああ 知里聞いてくれ。ただし、俺への恩は今考えないでくれ。俺の話を受け入れられない時に、枷にはしたくない」
「・・・うん、わかったよ。その話を聞いて、純粋に判断したらいいのね?」
「ああ そうだ」
知里を見つめながらも、覚悟を決めて、
「さっそくだが、俺は人間じゃない」
「!!!」
「魔族と亜人の間に生まれた・・・なんと言ったらいいのか、よくわからないものだ」
「!!!」
再度驚き、まだ言葉にならないらしい。
「親父は神祖らしい。神祖とはヴァンパイアの最上位の存在だ。ハイエルフの母さんがアリエスに伝えたそうだ」
そして、まだ驚いている知里に、よく考えて答えてくれと言って、リビングに戻った。
知里がしばらくすると中に入ってきて、隣に静かに座る。
「私は、あなたはあなたのまま、話を聞く前も後も、なにも変わらないと思うの。だから私は前と変わらず今も、あなたを愛してます」
「・・・知里ありがとう。俺も知里のことを愛しているよ」
と言って抱きしめ、キスをする。しばらくそうした後、
「それとな、これ以上の事をすると、知里の成長が止まる。神祖の力の影響だ。」
「それって、私は人間じゃなくなるってこと?」
「ああ、そうだ。俺の眷属、いや俺の永遠の伴侶になってくれ」
「・・・はい。末永くよろしくお願いします」
俺と知里は見つめ合い、そして、知里のことをお姫様抱っこをして、俺の部屋に連れて行った。
夕暮れ時になるまで、ずっと知里と一緒にいたが、そろそろ迎えに行く時間になる。
「本当ならソフィアたちにも伝えなければならないと思ってる。だが・・・」
「言いたいことはわかるよ。それに、ソフィアちゃんたちもあなたと一緒に居たいって言うと思うよ」
「うん、そう言ってくれるといいが、まだあの子たちは子供だ。だからまだ、今すぐには伝えないでおこうと思う。」
「そう・・・でもね、ソフィアちゃんや美咲ちゃんや芽衣ちゃんも、あなたのことを真剣に愛していることが、私には分かるの。だから、なるべく早く伝えてあげてね」
「ああ わかった。それじゃ迎えに行ってくるよ」
「行ってらっしゃい」
それから、ソフィアたちを連れて、ドームに戻ってくる。
「あれっ? 知里、何かあった?」ソフィア
「だよね。なんだろ?なにかオーラというか雰囲気が変わったような」美咲
「ん?何もないよ」
知里は大人の余裕なのか、眷属としての力の影響なのか、ポーカーフェイスを貫く。
「「・・・ふーん」」
ソフィアと美咲は俺をジト目でみている。
いつものように芽衣は無邪気に、ソファに座る俺の横で、じゃれついている。
「・・・」
メルは、知里をじーっと見て、俺を見る。知里の魔力量が、爆発的に増えていることに気づいたようだ。しかし、空気を読んだのか、いつもと変わらない。
(メルは気づいたか。この子は何気に凄いんだよな)
メル おそろしい子。