ゴブリン討伐 2
「時間になりました。それでは簡単な作戦会議をします。と言っても連携なんか出来ないでしょうから、各パーティの攻め入る方向を決めたいと思います。」
と職員のガンテが言う。
「当たり前だ。あんなハーレムパーティーと連携なんか出来るかよ。道連れはごめんだぜ」
「まあまあ そのくらいで 実は私がなぜここに来ているのかと言いますと、私感知のスキルを持っているからでして、それで集落を先程探って来ました。大変申し上げにくいのですが、400体はいますね。さらに集落の奥にほら穴みたいなものがあるのですが、もしかしたら奥にキングがいる可能性もありますね」
「おいおい依頼書とかなり違っているじゃないかよ」
「ええ そこで依頼続行ならば報酬は小金貨4枚出しましょう。さらにキングがいた場合は2枚追加です」
「そういうことなら 俺はいいぜ」
「あー パーティーごとの討伐数を決めないか?何もしないので他のパーティーに頼られても困るからな」
俺を見ながらそんなことを言っている。
「それは・・他のパーティーが多く倒すと、達成できなくなる恐れがありますが?」
「それなら最低討伐数を決めたらいいんじゃないか?」
「そうだ」「それがいい」
とことん嫌われている。
「わかりました。では7パーティーなので40体にしましょう」
「だれか反対の人はいますか?・・・いませんね。では続行ということで話しを進めます。えーと、パーティーごとに攻め入る方角を決めますね。」
「奥の洞窟からみて右回りに右、右下に間隔を開けて2パーティー正面、左下も同様に2パーティー、左の配置とします」
1番人数が多いからと、案の定俺たちは正面に回された。
「敵の数は多いが、心配するな。みんなはまっすぐ前方の敵だけを相手しろ。ソフィアまかせたぞ。俺は切り取りで忙しいからな」
「わかったわ。指揮は任せて。みんないつもどおりにやろうね」
「「「うん!」」」
各パーティーが配置に着くと、戦闘開始の合図が打ち上げられる。
「行くわよみんな!正面の群れに魔法を打って。ミラは後方のアーチャーとメイジに矢を、メルと美咲は弱った敵をお願いね」
ノーマルの敵は知里たちの雷球、風刃、アイスボール 、ライトボールで無力化する。
ミラは速射で的確に上位種のアーチャーとメイジにダメージを与えている。弱った敵は美咲とメルが次々と斬り伏せる。ソフィアは後衛のガードとして、近づく敵を槍術で叩き斬る。
「よし 最初の群れは殲滅ね」
20体くらいいた群れはものの数分で型がつく。
(なかなかやるな。みんないい感じで落ち着いている。ソフィアの指揮がうまいんだな)
そんなことを考えながら、身体強化と加速で手早く魔石と証明部位を集める。
「次の群れが来るわ」
「右の方からも来るわよ」
メルと美咲がそれぞれ叫ぶ。
群れは組織だっていて、一つの群れは、中衛のゴブリンナイトが隊長の役割をしており、前衛にノーマルゴブリンが10体ほど、中衛にゴブリンウォリアーが5体、後衛にゴブリンメイジとアーチャーが2体ずつで、約20体で構成されている。
「左にはメグとシーラが攻撃、右は知里と芽衣が攻撃。ミラは左のメルを援護。美咲は右をお願いね。シンはアーチャーとメイジを殲滅してよ。多すぎるわ」
「お 偉いぞソフィア。状況判断がいいな」
「なっ この忙しいときにふざけないでよ。仕事しなさい」
「はい はい」
そう言って魔法を発動する。左右後方のアーチャーとメイジ、4体ずつを8色の矢が襲う。
「ふー 殲滅完了ね。次の群れはまだ先ね。美咲、メル怪我はない?」
「ないよ〜」「うん 大丈夫」
「メグたちは魔力枯渇には気をつけてね」
「「まだまだ大丈夫だよー」」知里 シーラ
「私も大丈夫ですわ」メグ
「余裕だよ〜」芽衣
「シンは・・・集め終わったようね」
「じゃ次行くわよ」
「「はーい」」「「オッケー」」
次の2つの群れを殲滅したところで、他の6つのパーティーも、それぞれ2つずつ群れを殲滅し終わった。
残るは2つの群れと小屋から出てきたジェネラルゴブリンが率いる30体くらいの群れが2つ。そして洞窟の中からキングが煩わしそに雄叫び上げながら現れた。
「ひっ キング!」
「やばいぞ!キングの雄叫びだ」
配下のゴブリンが強化される。
ここで、最後方で付いてきていた職員のガンテが叫ぶ。
「ミスルナさんとラッジさんのパーティーは右のジェネラルの群れを、ヘクトさんとモリーさんのパーティーは左のジェネラルの群れを殲滅してください。手前の群れはカンターさんとニナさんのパーティーで、シンさんのパーティーは奥のキングとその群れをお願いします」
カンターとニナのパーティーが群れを引き付けている間に、横を通り抜け洞窟の前へとたどり着く。
「みんな 行くわよ。メルと美咲は待機!魔法と矢で削れるだけ削りましょう」
「ん」「はーい」「おっけ〜」
魔法と矢の弾幕が張られるが、強化されたノーマルも2、3発食らっても前進してくる。
「っ!美咲、メル防御優先で足止めして」
「くっ 強い!シンっ!アーチャーとメイジを倒して」
美咲とメルとソフィアは、なんとかかわしているものの、擦り傷が増えていく。
「ああ 任せろ」
矢では仕留め損なうと思って、雷槍で4体を仕留める。
さらに、身体強化から加速して、キングの背後をとり、剣で首を薙ぐ。
「キィーン」
「なっ」剣が折れた。
キングは裏拳打ち(バックブロー)をしてきたので、後ろにひらりとかわす。
「いい剣だったんだが」
と言うと、ソフィアたちの元に戻る。
「キングは?」
「まだだ 剣が折れてしまった。魔法で倒す」
キングは目の前からいなくなった俺を探している間に、魔力を練り上げ、雷魔法トールハンマーで黒焦げにする。
ドォーン!!!!!!
「「きゃあ」」「ひゃっ」
普段無口なメルまでかわいい声を出して驚く。
「「ちょっと いきなりやめてよ」」
ソフィアと美咲が文句を言う。
そこからは、キングの加護がなくなった為、一方的に殲滅完了した。魔石と証明部位を集め終わる頃には、他パーティも殲滅終了した。
洞窟内をガンテと他パーティーのリーダーたちが探索に向かっている間、女子たちには、
「君たちすごいねー」
「うちのパーティーにこないかい。ここらではちょっとは名の知れたパーティーなんだよ」
「何体倒したのよ?凄すぎない?」
などと賞賛の嵐だ。
一方俺には、
「おまえ全然倒してないよな」
「こいつ女の子たちを盾にして1番後ろで隠れてただけだぜ」
「俺も見てたぜ、魔石の回収と切り取りしかやってないしよ」
「お前ヒモか?ヒモなんだな」
「か〜 普段どれだけいい仕事してるんだよ」
散々な言われようだ。
ソフィアがたまらず
「ちょっとあんたたちいい加減にしてよ。シンはね」
「いや いいんだ」
と止める。何を言っても一緒だから案の定
「か〜 泣けるね」
「男は腕があってなんぼだぜ」
「女の子たちが凄すぎて、こいつまで一緒の報酬かよ。やってらんねえぜ」
とさらに止まらない。
ガンテたちが帰ってきたところで、明日ギルドに行くと言い、さっさと帰ることを告げて、その場から離れた。
(奴隷達はほとんど使い捨てか、こっちに召喚された地球人は悲惨だな。洞窟の中も悲惨だったんだろうな)ガンテの様子からそんなことを考えていた。