王女様を仲間に
日も暮れたので、伯爵邸に帰ると
「帰ってきたか。さっそくだがすぐに移動してほしい。監視が強まった。反王族派が屋敷に滞在することになった。娘を頼む」
「畏まりました。では明日の午前中にまた参ります」
ドームに帰って来ると
「もう12月にもなるのに、ここは暖かいし果物もなっているのね」
「ああ ドームの内部に空間魔法で真空の層をつくっているんだ。果物や野菜は俺と知里の木魔法で育ててるんだ」
「あんたたち何気に街にいるより快適な暮らししてるんじゃない」
など喋りながらドームに入る。
「おかえり〜」
芽衣が飛びついてきて胸をポカポカと叩いている。朝帰ってきたときに声をかけなかったことを怒っているらしい。
「ただいま。芽衣ごめんよ」
頭を撫でてあげる
「うん 許してあげる。えへ」
それから仮眠をとり、深夜ベルメール邸に侵入した。
翌朝 シーラを連れてベルメール邸に転移して、
クレイド邸の時と同じく挨拶と説明をした。
「たしかにクレイド伯と会う必要があるな。シン君クレイド邸に連れて行ってもらえるかね」
「畏まりました」
クレイド伯とベルメール伯の会談は今後の方針を大まかに決めてすぐに終わった。監視の目があるためだ。
今後の方針として、
1つは秘密裏に王族派と連絡を取り、反撃の機会を伺う
1つは王女様たちの安全を考えて、このまま行方不明のままにしておく
「ということで、シン君にはマーガレット様達をそのまま預かっていてほしい」
「ええ それは構いませんが、いいのでしょうか、私みたいな冒険者なんかに?」
「ああ その点は心配していないぞ。ソフィアが君を信頼している様を見ているからな。それとなこれは出来たらでいいのだが、学院に通えなくなった代わりに、冒険者のイロハを教えてやってほしい。学ぶところが多いにあると思うからな」
「畏まりました。お嬢様方は全力で守ります」
「ああ ではそろそろ行ってくれ」
それからベルメール伯を屋敷に届け、ドームに帰った。
ドーム内リビング
「・・・ということでマーガレット様とメルとミラはしばらくここで暮らしてもらうことになりました。ソフィアとシーラは伯爵の希望どおり、冒険者をやってもらうからな」
「うん わかったわ。任せて」
ない胸を偉そうに反らせている。
「私もここにいる間は一緒にやりたいわ。強くなりたいのよ。それと私のことはメグとよんでね。みんなと一緒でいいから」
「・・・ああ わかったよ それじゃメグとメルとミラも今日から冒険者仲間だな。よろしくな」
そう言うと、王女様はぱぁと笑顔になった。
ここに来て以来一番の笑顔だ。
「拠点はエナメルにするか。まずはメグ達の買い物と、戦闘服を作ろう」
「まあ! 私もエナメルに行けるのね。楽しみねメル、ミラ」
「はい 楽しみですね。メグ」
3人は嬉しそうにしている。
「それと冒険者登録と神殿でステータスチェックもしておくか。今の実力がわからないと、隊列もくめないからな」
エナメル近郊の森の中
開けた場所にドームを設置する。ちなみにこのドームには、人除けと魔物除けの結界と、認識阻害の結界が常時展開されている。
その後女の子たち8人はエナメルの街道すぐの草原に連れて来る。
「「「・・・」」」
メグは国を統べる王族として、こうも街のありようが違うため、言葉にならないらしい。
「でしょそうなるよね。私と同じ反応してる」とソフィア
「アホか何が同じ反応だよ。メグはお前みたいに狼狽えているわけではないぞ」
と苦笑しながら言う。
「なによっ どうせ私はアホですよ。ふんっ」
ソフィアは頬を膨らませ、睨んでくる。
「あんたたちほんと仲がいいのね〜。妬けるわ」
美咲がそんなことを言い。知里は切なそうにこちら見ている。芽衣は俺の服を摘んで見上げている。芽衣の頭を撫でてやると、ニコッと笑うのが愛らしい。
「ばっ バカなの 仲なんてよくないわ」
ソフィアは一人で焦っている。