潜入捜査
王都エバン平民街
「ソフィア、学院に連絡しなくてもいいのか?」
「連絡した方がいいけど、マーガレット様と一緒にいたのは知られているだろうから、捕まらない?」
「まあ そうだな。実家も監視されてるだろうな」
「だよね」
「ソフィアの家に行ったことがないから、転移もできないし、さてどうしたものか」
「なあ 抜け穴とかないのか?」
「ある訳ないでしょ。クレイド領の実家ならまだしも、こっちは王都邸よ」
「そういえば聞いてなかったが、親父さんこっちにいるのか?」
「・・・」
「おい マジか シーラと交代だな」
「ちょっ ちょっと 冗談よ いる いるわ いるはずよ」
「ほんとだろうな。苦労して忍び込んだはいいが、いなかったってことはないよな?」
「大丈夫よ」
(たしかこっちに来てたはず)
「何よ、その目は。大船に乗ったつもりでいなさいよ」
「泥舟の間違いだろ」
「あんたね」
とか言いながらも嬉しそうにしている。
「なに笑ってるんだよ」
「う うるさいわね」
俺も自然と微笑しながらも
「さすがに兵士の数も多くなって来たな。今夜は無理か、宿に泊まるぞ」
王都エバン荒鷲亭 一階受付前
「部屋はあいているか?」
「ああ」
「部屋は1つでいいが」
「へっ?だ だめよ まだ早いわっ」
「お前は何を言ってるんだ」
と苦笑しながら
「親父 ベッドルームが2つある部屋は空いてるか?」
「銀貨2枚。2階の奥だ」
銀貨を払い、鍵を預かる。
「晩飯はもう終わったが、朝飯は無料だ」
「わかった」
荒鷲亭室内
「ソフィアの家の場所と特徴を教えてくれ。1人ならなんとでもなるからな」
「う うん わかったわ」
ソフィアに教えてもらったところで
「よし 出かけるか。ソフィアは鍵をかけて寝ていてくれ。朝一緒に飯を食おう」
「うん 気をつけてね」
「あ そうだ、ソフィアもこれを付けとけ」
「あ これね知里たちも同じのを付けてたわね」
「ああ そのブレスレットに魔力を込めると、俺と連絡がつく」
「あ ありがとう」
「どうした やけに素直だな」
「う うるさい さっさと行きなさい」
深夜まで時間があるので、酒場で情報収集することにした。
「ビールを頼む」
と言って銀貨1枚を置く
「なあ この国でクーデターがあったと聞いたんだが、この辺りは静かなもんだな」
「ああ 貴族様たちの争いは、平民には関係ないからな」
「そんなもんか」
「そんなもんだ」
「王様たちはどうなってるんだ?」
「さあな わからん。ただ兵士たちが人を探しているようではあるがな」
「ふーん」
(王女たちや学院に帰っていないソフィアやシーラを探しているのか)
「じゃましたな。これでみなに酒を出してやってくれ」
と言ってさらに銀貨数枚を置いて店を出た。
(これ一度やってみたかったんだ)
酒場の中では、見た目少年の行動によってまだ時が止まっていた。
魔力探索をしてソフィアの安全を確認する。
(ソフィアは宿にいるな)
(よし 行くか)
闇魔法ダークベールで闇に紛れる。屋根伝いに貴族街を目指し、貴族街の柵を越えた。
(ソフィアの家はあの辺りか)
(やはり監視も付いているな)
監視の目をかい潜り、屋敷の裏手にまわる。
屋敷の一室に忍び込むと転移で宿に戻った。