理不尽?
「ただいま」
「おかえりなさい」
パタパタと知里が出迎えてくれる。
「「おかえり〜」」
美咲と芽衣もソファで果汁水を飲んでいた。
(何よ どういうことよ)
ほんわかした雰囲気にたまらずソフィアが
「ちょっとシン聞きたいことがあるんだけど」
と凄む。
「まあ待てソフィア。マーガレット様に報告があるんだ」
と言って、ソフィアの頭を撫でる。
「そんなのでごまかされないんだからね」
頬を膨らませる。
シンは微笑しながら、メルを見る。
「マーガレット様王都の方は人が門の前であふれていて、入ることが出来ませんでした。目的地では女生徒たちから話を聞いてきました。その女生徒たちの話では、フィリップ様と王族派の子弟たちが軍に連行されたようです」
「ご苦労様でした。クーデターで間違いがないようですね。・・・」
マーガレットは考えこんでしまった。
しばらく無言の時間が続いた後
「やはり王都の状況が分からない限りは動けませんね」
「夜暗くなってからなら、目立たないだろうし、直接王都の中に転移しましょう」
「それなら私が一緒に行くわ。父なら状況も分かっているだろうしね」
ソフィアが俺の顔を見ながら言う。
「そうですね。クレイド伯は中立派でしたね。ソフィアお願いしますね」
「はい マーガレット様」
ソフィアは明るい声で応える。
(シン君と一緒に行動出来るのが嬉しいのね)
シーラはソフィアの横顔を見ながら溜息をつく。
「夕飯を食べて暗くなったら行こうかソフィア」
「うん わかったわ!」
ソフィアは嬉しそうに答えている。一方、知里たち3人はジト目でシンをみている。
「知里、夕飯の支度をしようか。大変だろうから手伝うよ」
「いーえ 大丈夫です。美咲ちゃん芽衣ちゃん手伝ってね。シンはお風呂に入ってきていいよ」
と断られた。
「は はい ではお先に失礼します」
逃げるように部屋を出て行く。
(なんだかな〜 納得がいかん)
マーガレットとメルとミラは微笑ましそうにやり取りを見ていた。
ソフィアとシーラは微妙な顔をして、何か言いたげな様子だ。
風呂から上がると、知里たちがダイニングテーブルに料理を並べているところだった。
「今日も美味しそうだ。ありがとう」
「みなさんの好みがわからないので、大皿料理にしてみましたが、大丈夫でしょうか?」
知里は王女様を気にしてか、心配そうに言った。
「知里様お気になさらないで下さい。食事まで作っていただいて、とても助かりますわ。でも見慣れない料理ばかりですね」
「はい 私の故郷の料理なんです。エナメルに行った時に食材と調味料をたくさん買って、シンが保存してくれています。お口に合うといいのですが」
「チキュウの料理というものですね。噂には聞いていましたが、とても楽しみですわ」
用意ができたので、みんな席について乾杯するる。女性が8人もいるから、とても華やかで騒がしい食卓となった。食後マーガレットとメルとミラが先に入浴し、その後知里たちとソフィアとシーラが一緒に入ったようで、なんだか仲良くなっていた。
(やれやれ)「ふー」
とため息をつく。
「なに、そのため息は?」
すかさずソフィアが追求してくる。
「いや なんでも・・・」
「シンまさかこのまま何も聞かれないとは思っていないよね?」
ソフィアがニコッと笑いながら言う。
知里たちも同じような笑みを浮かべている。
何もしていないのに、理不尽なプレッシャーを受けて
(めちゃ怖い)「はい・・・」
「まあ いいわ この件は落ち着いたら、知里たちとみんなで話しましょ」
「ではマーガレット様行ってきます」
「ええソフィアよろしくね。シン様もよろしくお願いします」
「畏まりました。では ソフィア行くぞ」