クーデター
王都近くの草原にシンとメルとミラは転移し、王都へと歩いていく。
「様子を見ながら近づきましょうか」
「そうですね」とミラ
「たぶん門番の方は私たちが側仕えとは、わからないはずです」
「まあ 王都には入るしかないので、覚悟を決めて行きましょう」
俺たちは街の入り口の方に歩いていく。
「なんだこの行列は。これじゃ今日中に入れないんじゃないか?」
「門のところに、兵士が何人もいましたね。すごく厳重にチェックしていて、あれは何かを探している感じでしたね」
ミラが門の方を見て来て教えてくれた。
「ここでじっと待っていても仕様がないので、エバンの森の方に行ってみませんか?」
メルとミラも同意したので、森に行くことにした。
エバンの森の目的地 司令部天幕
軍部高官ステュワート=グレッグは焦っていた。
「まだ見つからないのかっ!!役立たずどもがっ!!」
部下に怒鳴り散らしながら、その場で右に左へと落ち着きなく歩きまわっていた。
「・・・現時点ではまだ発見の報告はまりません」
部下はこれで何回目かの、同じような報告をする。
(勘弁してくれよ 5分と待たずに同じことばかり聞きやがって)
しばらくして兵士がやって来た。
「報告します」
「やっと捕まえたか?!!」
「あ いえ まだです」
「では なんだ くだらない報告なら容赦しないぞ」
ステュワートは理不尽な物言いをし、兵士を睨む。
「・・先程森で拘束した3人の学院生から話を聞いたところ、王女が冒険者らしき者について行ったとの報告がありました」
「居場所が判明したならなぜまだ捕まえていないんだ?」
「はっ それが逃走した方向に追っ手をかけてはいるのですが、どこにも居ないようです」
ステュワートは最悪の上司ではあるが、バカではない。
「ふむ その冒険者は転移持ちの可能性があるか。」
(転移持ちなぞ俺の知る限り、世界に3人もいないというのに、偶然なのか?くそっ いずれにしても早急に王都に報告しなくては)
「よし 撤収するぞ。第一王子と王族派の子弟は王都に護送しろ。他は解放していい。時間がない急げ」
さっきまでの醜態を晒していた様子とは打って変わり、なかなかの司令官ぶりを発揮する。
エバンの森の目的地近くに転移した俺とメルとミラは目的地に学院関係者と学院生しかいないことに気づく。
何気なくそこに近づき、その場にいた生徒に話しかける。
「何があったの?」
ミラが本当に何もわからないと言った様子ではなしかける。
「! ミラ様今までどうしてたんですか?」
ミラも有名人のようで、女生徒に心配されていた。
「いえ オークの群れに襲われて、私たちのパーティーはバラバラになってしまったんです」
王女の側付きなのに、ありえない苦しい言い訳をするが、そこは突っ込まれずに
「大変だったんですね。ご無事で良かったです。」
「で、何があったの?」
再度聞いてみる。
「私もよくはわからないのですが、王子様といつも王子様といる人たちが軍の乗り物で連れて行かれました」
「っ!」
(やはりクーデターで確定ですね)
メルとミラは顔を見合わせ、俺を見る。
「あなたたちは気をつけて帰りなさい。まだオークなど強い魔物がいるからね」とミラ
「メル様とミラ様はどうするのですか?」
「私たちはこの方とマーガレット様を探しに行きますので」
「「「・・・シン様‼︎」」」
騒がれるとまずいので、足早にそこを去り森に入ったところで、ドームに帰った。