再会
エバンの森に戻ってくると、まずは広範囲探索を行うと同時に、目的地が見通せる高い木に登り観察する。
(やはりな、目的地は軍に占拠されているな。しかしなぜ学院の演習でこんな暴挙をしでかしたのか。クーデターか?)
(たしか高等科に第一王子と第二王女がいたな。なら王都もか?)
(んー 随分大勢の生徒が拘束されているな。王子は捕まっているのか。)
(ん?なんだオーク?20体に学院生8人が闘っているのか)
「男子3人は前衛で防御に徹して、シーラ、メル、ミラとマーガレット様は魔法で攻撃して下さい。」
ソフィアは大きな声で指示を出しながら、自分も槍術で応戦する。
(このままでは・・)恐怖が込み上げてきた。
オークは女性にとって1番の恐怖の対象だ。
前衛3人が次々とオークに吹き飛ばされていく。
「あ あ 」
言葉にならない。
オークはまだ10体以上もいて、押し寄せてくる。
刹那 前方にふわりと影が降り立ち、
「後衛まで下がれ、ソフィア」
背中しか見えないけど、ソフィアにはわかる。
「シン!」
オークの群れを剣で斬り伏せ、エアーバーストで吹き飛ばす。
「よし 撤退するぞ。時間がない急げ。捕まりたくなければ、俺についてこい」
と言って負傷者たちをエリアヒールでまとめて治癒をする。
「ちょっとシンどういうことよ?」
ソフィアは説明を求めてきた。
「今の戦闘音で、兵士が近づいてきている。捕まりたくなければ来るんだ。第一王子はすでに
目的地で拘束されている」
「えっ」
ソフィアは青くなり絶句していたが構わず、範囲探索で兵士のいない方に走り出した。
女子5人は付いてきたが、男子達は貴族のプライドがあるのか、信じていないのか付いてこない。
「よしここなら少しは時間を稼げるか」
兵士たちから大分離れたところで止まる。
「マーガレット様ですね。私は元学院にいたもので、シンと申します。あいにく私は貴族ではないので、無礼な言葉遣いとなりますがご容赦ください」
「気にしないでください。普段どおりでかまいません。シン様が学院で優秀だったことは存じ上げておりましたわ」
王女は気さくにこたえてくれた。
「ありがとうございます」
「さきほども申し上げました通り、ここはまだまだ危険です。まだ王都の方は確認できてないのですが、クーデターの可能性があります」
「私はどうしたらいいのでしょう?」
「俺、いや私を信用してもらえるなら、ここから脱出することができます」
王女は俺を見つめながら、少し考えて
「わかりました。お願いします」
と言った。
「俺はまだ転移は1度に4人までしか出来ないから、ソフィアは少し待っていてくれ。ここを動くなよ」
と言って、王女と側仕えのメルとミラに掴まるように言って、ドームに連れて行く。すぐ戻りソフィアとシーラを連れてきた。
5人は陽の光が降り注ぐ庭園を見回している。
(なんて穏やかな場所なの。あのベンチでお茶をしたいわね)
5人は言葉が出ないようなので、自分から説明することにした。
「ここは私の隠れ家です。現在地はエバンの近くの草原ですね。立ち話もなんですので、中に入りましょう。仲間もいるので紹介しますね」
と言って中に案内した。