初めての戦闘 2
「ここがエバンの森だ。準備はいいな」
と3人を見るとコクリと頷く。
「俺が前衛で美咲が中衛、知里と芽衣が後衛だ。俺が索敵と防御をやるから戦闘が始まったら、知里と芽衣は雷球と火球で攻撃、そのあと美咲が止めだ。できるな美咲?」
「うん がんばるわ」
「よし 索敵するぞ。(サーチ)よしこっちにゴブリンが一体だ。ちなみにゴブリンやオークは繁殖力が強く、異種族の女でも見つけると襲ってくる女の敵だ。遠慮はいらん躊躇するなよ、ここで殺らなければ、他の女が被害にあうと思え」
「うん わかったわ」「「はい」」
ゴブリンが木の棒で攻撃してきたところを、俺が剣で防御すると、雷球と火球がゴブリンに命中する。ゴブリンは顔を歪め、たたらを踏んだところに、美咲が身体強化から加速して近づきゴブリンを刀で両断する。
「やった!」「美咲ちゃんすごい!」「美咲お姉ちゃんすごーい」「ちさ姉と芽衣の魔法のおかげだよ」
「3人ともすごいぞ。よしどんどん行くからな」
「「「うん!任せて」」」
その後スライム フォレストウルフ ボアを狩る。
食材にならない魔物はその場で魔石の取り方などをレクチャーする。
複数体いる時は一体以外は俺が接近する前に狩ってしまう。
昼になったので王都エバンにやってきた一行。
「この街も大きいね〜」と美咲
「ああ エバニアも大陸では上位の大国だからな。だから学院もあるんだよ」
「シンの通ってた学校を見たいな」と知里
「いいぞ 飯食べたら行ってみよう」
「ほら 着いたぞ ここが王立学院だ」
「へー なんか貴族の学校って感じがするね」
美咲は驚いていた。
「実際貴族の子弟が多かったからな」
「シンって貴族なの?」
知里が聞いてくる。美咲と芽衣も目を丸くしている。
「いや 俺は平民だ。ただ俺の育出ての親が有名なパーティのメンバーだったらしいんだ。学院長とも付き合いがあったらしくて放り込まれたんだよ」
「な なるほどね」
と言って美咲は何か考えごとを始めた。
知里と芽衣も同じようだ。
「さあ 次は美咲が前衛で防御もしてもらうからな。行くぞ」
その頃王都学院の教室ではソフィアがシーラに窓の外を見るように言っている。
「ねえ あそこ見て。シンじゃない?」
「まさか シンが女の子連れてるわけないじゃない」
「でも似てるよ。あ 待って・・」
「ソフィこれから演習だから、校庭に行こ」
「う、うん」
(重症だわ)
エバンの森ではパワーレベリングが順調に進んでいた。
(妙だな 魔物が少しずつ強くなっているような気がするが)
(ん?今度はなんだ?人の気配が一気に上がったぞ)
(まさか今日は合同演習か。うーんタイミング悪いな。帰るか?)
(いや、しかしこの妙な胸騒ぎはなんだ)
「どうしたの?」
知里が黙り込む俺を心配して声をかけてきた。
「いや なんでもない。大丈夫だ。どうも学院の合同演習がこれから始まるようなんだ」
「あら ならシンのお友達にも会えるかもしれないわね」
美咲がなにか含みのあるような言い方をする。
「どうかなエバンの森は初心者の森とは呼ばれてはいるが、それでも結構広いからな」
と応えながらも、広範囲を(サーチ)探索し始めた。
(合同演習の目的地の平原にはかなり人がいるな。学院関係者か。しかし強い魔物は軍が間引いている筈だが、仕事をしていないのか?)
考えごとをしながらも、魔物を二体ずつ屠っていく。3人ともこの森では充分通用するようになっていた。
(!今オーク2体だったな。おかしぞこの森にオークは出ないことになっている筈だ)
「今日はここまでだ。場所を移すぞ」
「どうしたの急に?」
3人は突然中止を告げられ困惑気味だが、素直に言う事を聞いてくれた。
「理由は後で教えるが、とりあえずつかまれ」
「ここは俺が学院にいた頃に、魔法の練習とかする為によく来ていたところだ。ドームを出すぞ」
ドームの中に4人で転移したところで
「さっきの森で演習を実施していると言ったが、本来強い魔物は軍が間引いているんだ」
「あ だから 初心者の森なんだね」
3人は納得していた。
「本題はいない筈の魔物がいた事なんだ。どうも軍が仕事をしていないらしい。むしろ不自然な動きをしていたと、言った方がいいかな」
「俺はもう一度あの森に行ってみるから、留守番してくれ。ここなら安全だし、何かあればシェルターに入ればいい。あとは俺に魔力を飛ばしてくれれば、すぐ助けに来るからな」
「うん わかった。気をつけて行ってらっしゃい
待ってるからね」
「シンが強いのはわかってるけど、気をつけて」
「シン早く帰って来てね」
知里と美咲がそれぞれ声をかけて来て、最後に芽衣が見上げながら抱きついて来た。
「ああ なるべく早く帰るよ」