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第29章 本望(ガールズサイド)

趣向を変えて、糖度を増やしてみました。

「この前の映画は楽しかったな」

という気持ちで、1週間が終わってしまうかもしれない。

そんな幸せな気分で、わたしは過ごしていた。


仕事が終わったあと、適当にご飯を食べたわたしは、テレビをみていた。

毎週見ている恋愛ドラマが流れていた。

でも、没入できない。「このシチュエーションで、彼とデート出来たらいいな~」とか「彼はいったいなにが好きなんだろう」とか。すべて、彼と結びつけてしまう。われながら、重度の恋愛病だ。医者に「どうしてこんなになるまで、放っておいたんですか」と怒られてしまうだろう。


<ブーブー>

そんな馬鹿なことを考えていたら、携帯が鳴った。

彼からだった。彼からだった。彼からだった。

そんな何度もくりかえして、叫んでしまうほど嬉しかった。

「こんばんは!達雄です。このまえ、言っていた食事の件ですが、明日か明後日でどうですか?」

彼からのメッセージは死ぬほど、嬉しかった。この前、少し気まずい感じで自爆したのに、すぐに誘ってくれた。もう、恋愛の駆け引きなんて関係ない。わたしはすぐに返信した。


「では、明後日で。この前と同じ駅前で、待ち合わせでいいですかね? 場所はイタリアンとかでどうですか?」

彼もすぐに返信をくれた。イタリアンは大好きだ。きっと、色々と調べてくれたのだろう。それがとてもうれしかった。そして、……。それが、愛おしかった。


「イタリアン食べたいです! 楽しみにしてますね」

わたしは、なるべくかわいい顔文字とスタンプを使って返信する。すこしでも彼に可愛くみられたい。下心丸出しでわれながら、恥ずかしくなる。


「自分も楽しみです。あと、大事な話があるんです。ご飯の時、話すので聞いてください」

また、すぐに返信がきた。

「う……」

嬉しすぎて、言葉にならない悲鳴を上げる。

「大事な話があるんです」

「大事な話があるんです」

「大事な話があるんです」

しれっと書いてあるその文にわたしは悶えていた。どんどん彼のことを考えてしまう。


「もう、その文章だけで、告白ですよ」

だれもいないはずの部屋で、わたしは彼に話しかけていた。どうして、ここに彼がいないのだろう。近くにいて欲しい。できれば、このまえの続きをしたい。どうして、あんなことをしてしまったのだろう。あの夕暮れの駅前で。顔と顔が近くなるあの瞬間。思いだしただけで、顔が熱くなる。


「幸せだったな」

わたしは平凡な感想をもらす。

他のひとからみれば、普通の感想だけどわたしにとっては特別な、スペシャルな感想だった。


ドラマでは、恋人たちが離れ離れになるという次回予告が流れていた。



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