第1章 ニート脱出編
第1章 ニート脱出編
「おい、達雄。おまえも25だろう。いい加減働かないか?」おやじは突然、おれにそう言ってきた。
おれは真っ青になった。
やばいフラグがたってしまう。
この提案を拒否したら、家族と大喧嘩。からの追い出しをくらって、転生トラックにひかれてしまう未来しかありえない。事実上の死刑宣告だ。
「そうよ。もうお父さんも定年まぢかでしょ。家計も厳しいのよ」お袋も同調してきた。やばい転生する。
おれは真剣な顔でこう答えた。
「そうだよな……。真剣に考えてみるよ」
声は震えていた。
両親はそのようすにビックリしたのか、そのあとなにもいわなかった。
このまま、行動しなければ、あのアニメを見終わる前に、転生ルート一択だ。おれは意を決した。
文房具屋に直行し、なけなしの貯金で履歴書を何枚も買ってきた。証明写真も大量に用意した。
その日から、転生をかけたおれの就職戦争がはじまったのだ。
目の色を変えて、履歴書を書き、ハローワークに通い、あわよくば職業訓練所で手に職をつける。
これしかおれに転生を逃れるすべはなかった。
何社も落とされ続けて、心が折れかけようとも、アニメがおれを癒してくれた。
「なにもそこまで根を詰めなくても……」親はそういってくれた。しかし、そんなことにあまえていたら、転生してしまうのだ。おれは死ぬわけにはいかない。
そして、奇跡が起きた。IT企業がおれを拾ってくれたの。これでニート生活とはおさらばできる。グッバイ、転生トラック。
そんなふうに思っていた時期がぼくにもありました