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第13章 安西先輩

 昨日はとても幸せだった。来週の週末に映画までいく約束もできた。順風満帆。まさにこういうことだ。それにデートなど、ニート時代に電脳世界で散々楽しんだ。イメージトレーニングはばっちりだ。本当にそう思っていた。デートの前日までは……。


 「そもそも、デートに着ていく服ないじゃん」


 そして、デート前日の土曜日を迎えたおれは苦悩していた。いや、もはや悶えていた。


 おれのタンスにはスーツの他には母親が買ってきたユニオアやUGの服であふれていた。これを着てデートにいったら、スレが立てれてしまう。そもそも、ニート時代、掲示板で馬鹿にしていたことを、おれ自身がやりかけていた。


 元ニートよ、早く気がつけ。天からそんな声が聞こえてくる。そもそも、デートプランはどうする。映画観て、ご飯食べてさようならか?。中学生じゃないんだぞ。いや、いまどきの中学生すらもっとましなデートしてるはずだ。観る映画すらまだ決めていない。こんな体たらくじゃ、沙織さんに幻滅されて、失意の帰宅。そのまま、転生トラックだ。


 おれは藁にもすがる気持ちで、携帯を取りだした。電話先は、会社の先輩。休日なのに、本当に申し訳ない気持ちでいっぱいだった。でも、なりふり構ってなどいられないのだ。


 10コールして、先輩は出てくれた。

「どうしたんだ。達雄。土曜日に?」

「先輩……」休みの日なのに、電話に出てくれた先輩におれは感動していた。視界がにじんでいく。

「なんだよ」並々ならぬ様子に先輩は、少し警戒していた

「デートが……。デートがしたいです。安西先輩」

「ツーツー」先輩は圧倒的無慈悲な即ギリで返してくれた。

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