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第9章 奇跡
おれは恋愛研究に勤しんでいた。読んでは、次を読み、さらに読む。一体、何人のナンパ師を師匠にしたのかわからなかった。
そして、おれは最大の問題点に気がついた。
「この知識を使う場所がない……」
もし、同僚に使って、失敗したら。さらし者になって、会社に居づらくなる。そして、転生トラックに……。
じゃあ、ナンパか。いや、おれがやったら絶対にきょどる。その自信しかない。そして、警察に通報されて、収監。そこに、天使様がやってきて……。
こうなったらSNSで片っ端から。いやまて。これはどこかでやったことがあるぞ。ネトゲでの惨劇を繰り返す予感しかない。今あれをやられたら、ショックで一発転生だ。
「詰んだ」
涙がでてくる。これでは、転生待ったなしだ。
「天はわれを見放した」部屋で大声で叫んだ。
母さんがいきなり部屋に入ってきた「うるさいわよ」といわれてしまった。
しかし、その後、衝撃の発言が待っていたのだ。
「そうそう、あんた、お見合いしてみる気はない?」
奇跡が舞い降りた瞬間だった。




