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プロローグ
ちまたでは、今、異世界転生が流行っている。現世ではちょっと情けない主人公が、交通事故やらで異世界に転生。むこうで大活躍するというのがお決まりの物語だ。
でも、これが実際に起きていることだとおれは知っている。なぜなら、おれのニート仲間たちがどんどん不慮の事故やらで死んでいるからだ。交通事故、心臓発作などなど。なぜか、ニートにこれが集中している。やつらは転生したにちがいない。
次はもしかしたら俺かもしれない。いやだ、絶対に異世界なんていきたくない。
そこにネットはあるのか?アニメは?スマホは?萌えは?
考えただけでもブルブルする。おれなんか普通のニートが、あんな怪物だらけの世界で生きていけるわけがない。
「絶対に異世界になんて転生してやるか」
おれは部屋のなかで叫んだ。