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君が描いた星空へ  作者: 深淵ノ鯱
プロローグ
1/13

神話の秘密

☆はじめに☆

・この小説は、7月7日から7月17日まで毎日1話ずつ(7日と17日のみ、プロローグとエピローグを含めた2話)更新していきます。もし諸事情で更新できなかった場合には、翌日にまとめて更新します。

・改稿などをした場合には、最新話の前書きにおいてその旨と、行った日時を記載します。ですが、誤字脱字による編集を行った場合には、記載いたしません。(読者の方から報告を受けた場合には記載します)

・いただいた感想には、基本的に個人メッセージで返信をさせていただきたいと考えています。

・第24回電撃小説大賞1次落選小説です。これからどんどん良くしていきたいので、読者の方々の意見を心からお待ちしております。

 

 わたしが初めてこの神話を目にした時、一つの感想を抱いた。「悲しい」とか「面白い」とか、そんなありきたりなものではない。わたしは感動を越えた気持ちを覚えていた。小説を読むとき、登場人物に自分をあてはめながら読むとついつい泣いてしまうように。だが、今回は感情移入をしたわけではない。そんなことをするまでもなく、自分自身のような気がしたのだ。いや、「ような」ではない。これは「わたし自身」を描いた話だ。そう、感じた。

 自分のせいで大切な人を傷つけてしまうという悲しみを、わたしは知っている。だからこそ、この神話からは他の話とは異なる雰囲気を感じ取ったのだろう。つっと流れ落ちそうになっていた水の玉を、手の甲で強く拭う。

 窓からは、微かに光る星たちが見えていた。どれが何という星か、どれとどれを結べば、動物や神様が浮かび上がってくるのか、わたしには全くわからない。水をたっぷり染み込ませた文字のように輪郭を持たない情景が浮かび上がる。あの時も、わたしたちの頭上には星たちが瞬いていた。しかし、その淡い光は、心の奥底に沈めた後悔の念を湧き上がらせてくるようで、わたしはそっと目を逸らした。



『夏の星座の神話』

 夏の夜空に浮かぶ星座のひとつに、「いて座」があります。上半身が人間、下半身が馬という姿をしたケンタウロス族のケイローンが弓を引いている様子が、ルクバト、アルカブなどの星々によって描かれています。

 ケンタウロス族は、野蛮やばんな種族でした。しかし、ケイローンは音楽の神アポロンと月の神アルテミスから様々なことを学び、ギリシャの若者たちを教育するようになります。その中の一人が、ヘーラクレースでした。

 ある日、酒の席でケンタウロス族とヘーラクレースがいざこざを起こします。ケンタウロス族はヘーラクレースに追いかけられ、ケイローンの元へ逃げ込みます。ヘーラクレースは、ケンタウロス族の者を捕えることしか頭になく、恩師であるケイローンがその場にいることに気づきませんでした。ヒドラの毒が塗られた矢は、運悪く、ケイローンの胸に刺さってしまいます。普通の人に刺さったのならすぐに死んでしまうのですが、ケイローンは神の子であり、不死身でした。ケイローンは死ぬことができず、ヒドラの毒は永遠に彼を苦しめ続けるのです。

 ヘーラクレースは、苦悶くもんの表情を浮かべるケイローンを前に何もすることができず、大神ゼウスに、彼を安楽死させるよう懇願こんがんしました。その願いを聞き入れたゼウスは、ケイローンに安らかな死を与え、彼は星座となったのです。

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