「証拠隠滅、なのです!」
わたしのママはねこみみ魔女。パパは人間の勇者。だからわたしはねこみみ勇者。
なのですが。
やってしまいました……。
……勇者にあるまじきことをやってしまいました。
「またおねしょしたにゃー」
ママが呆れ顔です。
しょうがないのです。お風呂上りの冷やしたミルクがおいしすぎるのがいけないのです。
あと、夜中は暗いのでおトイレに行くのは怖いのです。にぅ。
わたしのベッドは、干草のベッドです。木で出来た箱に干草をいっぱいに詰め込んで、その上にシーツをかぶせてごろんと転がる感じです。
……そのシーツの上に、今日も世界地図が描かれていました。四つの大陸がいい感じです。
昨日やってしまったばかりなので、このままではママにお風呂上りのミルクを禁止されかねません。
干草をかき回して上下を入れ替えて、シーツは濡れたところが重ねて見えないように折りたたみました。消臭のために炭クズを干草に混ぜれば。むふー。完璧です。
……濡れた寝巻きのワンピースとぱんつでママにばれました。
これはそう、つまり、はだかで寝れば問題ないというわけです! ちょっと干草がチクチクしますが、これはこれでなんだかクセになりそうないい刺激です。健康にいいような気がしないでもありません。
数日、ばれずに済みました。
起きるか、起きないかくらいの夢うつつの状態で、しゃーとやってしまう気落ちよさは、なんともいえません。イケナイことだけに、やってしまう快感があるのです。
しかも、証拠隠滅はかんぺきなのです!
……ある日、床が腐ってベッドごと穴に落ちました。
ママに死ぬほど怒られました。
出してしまったものは、ごまかしても消えたわけではなかったようです。にぅにぅ。