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「妖精さん、なのです!」

 わたしのママはねこみみ魔女。パパは人間の勇者。だからわたしはねこみみ勇者なのです。

 勇者たるもの、弱きを救わなければなりません。


 だから、ママが何か小さな生き物を片手で捕まえてぎゅう、ってしそうになっているのを見たとき、おもわず「やめるのです!」って助けに入ってしまいました。

 ママは「こいつドロボウにゃ。イケナイことしたからおしおきするにゃ」ってかまわず、ぎゅうってしそうになったので、慌てて「やめるです!」ってじゃんぷしてママからソレを奪い取りました。

 ソレは、とてもとても小さい人の姿をしていました。ねんれいの話ではありません。身体のサイズのお話です。十五センチほどでしょうか。お人形みたいです。

 目をまわしているのか、はにゃーんとした顔でわたしの手の平の上でうずくまっています。

 初めて見ました。いわゆる妖精さんというやつのようです。このあたりで見かけたという話は聞いたことがありませんが、ここにいるということは居たのでしょう。

 指でほっぺをつつくとようやく気がついたのか、「ほへー」ってとぼけた声を上げてにっこり笑いました。かわいいです。思わず指で頭をなでなでしてしまいます。

「ソレがはちみつ盗もうとしてツボ落として割ったから、しばらくパンにはバターだけにゃー」

 にぅ?

 ママの声に、思わず首を傾げてしまいました。毎朝の楽しみである、はちみつとバターの奏でるすばらしきしんふぉにーが味わえなくなったですって?

 ……気がついたら、妖精さんをぎゅう、と握り締めていました。わたしは悪くないです。にぅ。


「ねこみみ勇者がちゃんと面倒見るにゃ」

 ってママに丸投げされてしまったので、妖精さんを飼うことにしました。はちみつの恨みは深いですが、勇者のお供にマスコット的なものも悪くは無いでしょう。

 むしろ魔法少女な弟魔女の使い魔とかが似合う気もしますが。


 妖精さんは意外と丈夫らしくって、しばらくすると背中から翅を生やしてぶんぶんとわたし

の顔の周りを飛び始めました。

 なんだか、むずむずします。自然と腰を落として、しっぽがぴん、と伸びてしまいます。


 ぱしん、と思わず叩き落としてしまいました。

 ……やせいのほんのーがいけないのです。


 結局、妖精さんはわたしのねこみみの間にちょこんと落ち着いてしまいました。

 ぴこぴこお耳を動かすと、頬ずりをしてきます。かわいいです。

 でも、わたしの頭の上でお菓子を食べるのはやめて欲しいと思います。

 頭がなんだかベタベタします。にぅにぅ。

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