「お勉強、なのです!」
わたしのママはねこみみ魔女。パパは人間の勇者。だからわたしはねこみみ勇者なのです。
勇者たるもの、いっぱんきょうようも身に着けなければなりません。
今日は教会でお勉強の日なのです。にぅにぅ。
わたしの住む村には子供が少ないので、がっこうというものがありません。近くの教会の聖女先生がお勉強を教えてくれます。
聖女先生は、オーク百匹を素手で撲殺したとか、邪神をでこぴん一発で封じたとか、かなり眉唾ものですが、いろんな伝説の持ち主です。
ときどき何かに取り憑かれたように「作者は死んだっ!」とか、「邪神よ去れっ!」とか奇声を発することがあるので、聖職者としてはちょっと問題ありですが、先生としては普通に良い先生です。良い先生だと思います。良い先生、なのでしょう。
……ほんとうです。おどされてなんかいません。にぅ。
弟魔女と一緒に教会に行くと、聖女先生と、先生の子供の聖女ちゃんが既に準備万端整えて待っていました。
いつものように聖女先生に促されてお膝の上に座ると、授業が始まりました。
「相変わらずねこみみで勇者で幼女でにぅとか属性てんこ盛りであざとすぎるわねっ!」
とか先生がよくわからないことを言いましたがいつものことです。お耳をなでなでされて、あたまをなでなでされるのもいつものことです。
そして。
……授業の内容がまったくわからないのもいつものことなのでした。
聖女先生はわたしのお耳をなでながら、こんせつていねいに教えてくれるのですけれど、わたしの小さなのーみそには収まりきれず、謎の呪文のような先生の言葉は右から左へと抜けていくのでした。
しかし……フーリエ級数っていうのはいったい何モノなのでしょう。この間の微分・積分というのや特殊相対性理論というのもまったく意味不明でした。
この分だと次にやる予定の掛け算九九なんて、もっとわからなそうです。
お勉強、がんばりましょう。にぅにう。