「修行、なのです!」
わたしのママはねこみみ魔女です。パパは人間の勇者なのです。だからわたしはねこみみ勇者。
勇者なのでちょっと剣の修行でもしてみようかと思いました。
この間は棒切れを振り回していてママにからかわれたので、今日はちゃんとした人に教えてもらおうと思います。にぅにぅ。
そういうわけで、近所に住む戦士さんを訪ねてみました。
戦士さんは少し変わっています。いえ、どちらかというと、かなり変わっています。
「じょうざいせんじょう」というのでしょうか、どこに居ても常に戦場に居る心構えだとかで常に全身鎧を身に着けています。普段着用、お出かけ用、就寝用と用意されたさまざまな全身鎧をいつも見にまとっています。
実はただのヨロイスキーなんじゃないでしょうか。
残念ながら中身を見たことはまだありません。
……もしかしたらリビングアーマーだったりするのかもしれません。ちょっとこわいです。にぅー。
剣を教えてください、とお願いしたら、戦士さんは庭に出たあと、少し離れるように言いました。どうやらお手本を見せてくれるようです。
戦士さんが、ずばん、と大きな両手剣を振り下ろすと、少しはなれたところの樹がめきめきと音を立てて倒れました。
すごいです。わたしの”にゃばん・ストラッシュ”の完成形を見た気がします。
ぱちぱちと拍手しながら、ぜひ教えてくださいとお願いしたら、戦士さんは首を横に振りました。
なんでも、基本的な剣の振り方くらいは教えるけれど、魔法の使えない戦士の剣を学ぶよりは、わたしは勇者なのだから魔法を使える前提で学んだ方がよいのだそうです。
勇者は、攻撃魔法・回復魔法・支援魔法を全て使える上に近接ぶつり戦闘までこなしてしまうちょーすごいしょくぎょうなのだそうです。
勇者やばいです。なんだ少し、かわくわくしてきました。
ちなみに戦士さんの「超・戦士斬り」を身につけるには最低でも十年はかかるそうです。にぅ。
お家に帰ってママに魔法を教えてもらおうとしたら、「さいのうないにゃー」って言われてしまいました。
勇者は攻撃魔法も使えるという話はなんだったのでしょうかっ!?
……ステキな勇者への道のりは、まだまだ遠そうです。にぅにぅ。