表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/30

「必殺技、なのです!」

 わたしのママはねこみみ魔女です。パパは人間の勇者なのです。

 だからわたしはねこみみ勇者。勇者なので必殺技のひとつでも身に着けようかと思いました。

 でもまだ子供なので、本物の武器なんて持たせてもらえません。

 庭で拾った棒切れを振り回すことにしました、にぅにぅ。


 ぶん、ぶん、と振り回すと、風を切る音が何だか魔法みたいでした。

 あれです、しんくうはを飛ばす、とか出来ないでしょうか。ちょっとやってみましょう。

 いいところに背の高い草が生えています。あれを狙ってみるとしましょう。

 ぶん、と棒切れの先を当てると、普通に茎が折れてぶちんと草が千切れ飛びました。いいかんじです。こんどは少し離れたところからやってみましょう。

 ぶん、と風を切る音がしましたが、草はそのままでした。

 まあ、そんなものです。最初からうまく行くはずもありません。やはり、気合とかそういうものを込めないとだめなのです、きっと。

 むふー、と息を吐いて。「いきます! なのです!」と思いっ切り棒切れを振り回しました。

 すると。

 棒切れが触れたわけでもないのにすぱぱっ、と草がなぎ払われたではありませんか!

 すぐに成功するとは、やはり勇者の血は伊達ではなさそうです。にぅ。


 しかし、偶然ということもあります。たまたま庭で拾ったこの木の棒が伝説の木の棒だったのかもしれません。

 それはそれで勇者伝説の始まりとしてよさげな気もしますが、別の木切れでもためしてみることにしましょう。

 こんどは少し細めの木の枝です。

 振ると、シュピュン、と高い音が鳴りました。

 もう一度、気合を込めて草を狙い、「にゃばん・すとらっしゅ! なのですっ!!」と木の枝を振るうと、すぱぱぱん、と草がなぎ払われました。

 いい感じです。これは弟に見せて自慢したいです。

 むふー、と息を吐いて弟を呼びに行こうとしたら、すぐ後ろにママがにやにや笑いで立っていました。

「勇者ごっこはもういいかにゃー?」

 ……って、まさか。

 ママが「にゃばんすとらっしゅ、にゃー!」ってパチンって指を鳴らしたら、風の魔法が残りの草を全部なぎ払ってしまいました。


 穴があったら入りたい気分です。ぬか喜びさせるなんて、ママひどいのです。にぅにぅ……。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ