「弟は魔女、なのです!」
わたしのママはねこみみ魔女です。パパは人間の勇者なのです。
だからわたしはねこみみ勇者。そして弟は魔女、なのです。正確には、人間魔女。
わたしがねこみみと勇者なので、残りを適当にくっつけた感じがなんだかちょっとかわいそうです。にぅにぅ。
しかし、弟なのに魔女というのがなんだか不思議な感じです。
魔女というからには、魔法を使う女性を意味すると思うのですけれど、弟なので男なのです。魔男というべきではないでしょうか。
ママに聞いたら「間男はいくないにゃー」ですって。よくわかりません。
ママもわたしもねこみみですが、弟は人間魔女なのでねこみみがありません。
ねこみみ欲しいよぅ、ってみぅみぅ鳴くのでこの間の誕生日にねこみみカチューシャをプレゼントしました。
そうしたら、弟は人間のお耳が隠れるようにって、髪を伸ばし始めてなんだか女の子みたいになってしまいました。弟のくせにかわいすぎです。妹みたいです。
思わず抱きしめてなでなでしていたら、ママが「ママの若い頃そっくりにゃー」って言って魔女のローブを弟に着せました。
人間魔女なのに、ママそっくりのねこみみ魔女になってしまいました。
……どちらかというと、魔法少女っぽいです。弟ですが。どこを目指しているのかさっぱりですが、弟には強く生きて欲しいと思います。
いずれわたしが魔王退治に出かけるときには、パーティメンバーとして活躍してくれるかもしれません。がんばれ弟。にぅ。
……ところで、以前ママに、わたしのパパである人間勇者は、わたしが生まれる前に「悲しいことになった」と聞いていたので、魔王との戦いの傷が元で死んでしまったのかと思っていたのですが。
弟が生まれているってことは、実は死んでいなかったのでしょうか。
それとも、実はわたしと弟とは父親が違うのでしょうか。半年に一回くらい家にやってくるさえないおじさんがなんだか怪しい気がします。
まあ、こどもなのですから知らないふりをしてあげましょう。にぅにぅ。