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「暴君魔王ちゃん、なのです!」

 わたしのママはねこみみ魔女。パパは人間の勇者。なのでわたしはねこみみ勇者なのです。

 正義無き力は無力ですが、力なき正義もまた無力なのです。

 具体的に言うと、魔王に勝てない勇者に存在価値はあるかにゃー? ということなのです……にぅ。


 先日、お隣に魔王ちゃん一家が引っ越してきたのですが。

 どうやら、魔王ちゃんにはすっかり気に入られてしまったようです。

「ねこちゃん、あそぶのー!」

 今日もまた、魔王ちゃんが遊びにやってきました。

 正直困ります。魔王ちゃんが、重そうな鉄のかぶとを平気で被っている時点で気がつくべきでした。

 ……魔王ちゃんは、とってもぱわふりゃなのです。魔王級なのです。

 本人に悪気はないのでしょうけれど、「かわいいー」って抱きつかれただけで骨がぽきぽき、って怖い音するのです。「なでなでー」って頭なでられると、ねこみみがそぎ落とされそうなのです。さらには、ちょっぴりハゲちゃったかもしれません。

 悪い子ではないのですが、正直、付き合っていると身体がもちません。

 聖女ちゃんを一発で轟沈させた、わたしの「妖精ミサイル」もまったく効きませんでした。

 ぱわふりゃなだけでなく、防御力もてっぺきなのです。

 にゃばん・すとらっしゅが完成していれば、もしかしたら勝機はあったのかもしれませんが。


「ねこちゃん、にゃーにゃーなの」

「いたいのです。もっと、そーっと触って欲しいのです……」

 ぬいぐるみのようにぎゅうと抱きしめられながら考えました。

 ……そうだ、身代わりを差し出そう!

 ちょうど、弟魔女が、奥から顔をだしたところでした。

「身代わりの術! なのです!」

 一瞬の隙をついて魔王ちゃんの腕から逃げ出し、代わりに弟魔女を押し込みます。

 むふー。うまくいきました。これは忍者に転職できるかもしれませんね! にぅにぅ。

「みゅう?」

「もうひとりねこさんだー」

 魔王ちゃんがさっそく、弟魔女に抱きついてねこみみをなでようとしました。

 すると。

「……なの?」

 弟魔女のねこみみは、わたしが誕生日にプレゼントした作り物です。ねこみみカチューシャです。

 それが、ぽろん、と落ちてころがりました。

「みゅう;;」

 弟魔女が、泣きそうな顔になりました。

 魔王ちゃんが、落ちたねこみみと弟魔女を交互に見つめて。

「お耳とれたのー!? たいへんなのー!」

 大慌てです。

 これはチャンスです。

「らんぼうにするから、弟魔女のおみみとれちゃったです。魔王ちゃんひどいです」

「みゅうみゅう;;」

「ごめんなさい、なのー!」

 魔王ちゃんが、わんわんと泣き出しました。

「もう、らんぼうにしちゃ、めーなのです」

 むふー、と息を吐いて、ねこみみカチューシャを拾って弟魔女に装着しました。幸い壊れてはいないようです。

 これで少しは魔王ちゃんもおとなしくなってくれるでしょうか。

 そう思っていたら、お尻に違和感が。


「……ねこたん、しっぽもとれるー?」

「取れないし、とっちゃだめなのですーっ!?」

 誰かこの小さな魔王をなんとかしてください。にぅー……。

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