「ねこみみ勇者、なのです!」
わたしのママはねこみみ魔女です。パパは人間の勇者なのです。
だからわたしはねこみみ勇者。単純に足して2で割ったような適当加減がなんだかステキなのです。
にんげんねこみみとかわけのわからない存在にならなくって幸いでした。にぅにぅ。
……ところで、勇者というのは何をするひとなのでしょう?
魔女であれば魔法を使う女性のことでしょうし、戦士であれば戦う人です。
じゃあ、勇者は勇ましいひとのことなのでしょうか。きゃんきゃん吠える子犬みたいでなんだか残念な気がします。
勇者のパパはわたしが生まれる前に、魔王との戦いで悲しいことになったのだそうです。
なのでママに「勇者ってどんなです?」って聞いたら、「勇者はねー、とっても強いにゃー」って言いました。
ふむ。勇ましくって強い。むふー、悪くないです。
でもって、「やさしくてかっこいーにゃー」なのだそうです。
よいですね、なんとなく人気がありそうです。
おまけに「モテモテなのにゃー」ですって!
これはよいですね。あこがれます。わたしも立派な勇者を目指すことにしましょう!
しかし、勇者としてがんばるには何をすればよいのでしょう?
悩んでいるとママが言いました。
「勇者はママのお手伝いするにゃー」
「わかったのです!」
「勇者は宿題すぐにすますにゃー」
「がんばるのです!」
「勇者はニンジンもピーマンも残さずたべるにゃー」
「にゃーなのです」
「勇者はママの肩とんとんするにゃー」
「にゃー」
「勇者は……」
「にゃ」
「勇者は……」
「にゃー……」
なんだかママに良いように使われている気がしてきました……。
しかし、ふと気になったのですが勇者とはどうやって生計を立てるものなのでしょう?
ママに聞いたら「勇者はねー、魔王を倒すのがおしごとにゃー」って言いました。でもって「魔王を倒すと王様がごほうびいっぱいくれるのにゃー」ですって。
なるほど、どうやらわたしは魔王を倒さなければならないようです。
さらに「でもパパとママたちで倒したから、今はもう魔王はいないにゃー」ですって!?
……しょくぎょうせんたくの自由が欲しい今日この頃、なのです。にぅにぅ。