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■プロローグ
夢を見る。
そこは“終わった世界”だった。
灰色の廃墟。文明の残骸。瓦礫の牢獄。
草木も生えぬ死の惑星。
全ての生き物が死に絶えた後、生きているのは女の子だけ。
白い服着た女の子。
女の子は“鍵”を持っている。
灰色の柩を開ける“鍵”。
柩を開けると冷たい冷気が白く白く。
中から出てくるものは鈍く光る細長や横広いモヤの人影。
蓋を開けられ出てきては陽炎のように彷徨いやがて消える。
それでも女の子は“鍵”を開ける。
淋しくて、“鍵”を開け続ける。
終わった世界の物語。
たった一人の女の子。