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ダンジョン攻略、その二

 ダンジョン第一階層:「黒兎の間」


 ダークラビット。

 二足歩行するウサギ型の魔物。その手には小さなナイフが握られている。

「クピピピピイピピピピピピピ」

「コッピピピピピピイイピピイ」

 耳をクルクルと動かし、奇妙な鳴き声を上げながら侵入者を攻撃する。

 ダンジョンの階層は巨大な扉で隔離されている。扉は階層ごとの課題をクリアしなければ開かない。

 第一階層のクリア条件は『この階層にいるダークラビットを全て倒す』ことだ。

「くそ、面倒くせぇな」

 ダークラビット一匹一匹の戦闘力は低い。低レベルの冒険者でも一人で倒すことが可能だ。当然全員が高レベルの冒険者である「シン」のメンバーなら目を瞑ってでも勝てるだろう。だが、問題はその数だ。第一階層には一万匹以上のダークラビットがウジャウジャと犇めいている。

「魔法でパーとやっちまうか?」

 ヴィーが杖を構えるが、プライはそれを制する。

「先はまだ長い。此処で魔力を消耗するのは得策じゃない。トニー!」

 プライの言葉にトニーが反応する。

「やれ!」

「あいよ!」

 トニーはナイフを構え、目を閉じて深く深呼吸をするとカッと目を見開く。次の瞬間ダークラビットが斬られた。

「ギャ!」

「グギャア!」

 次々とダークラビット達が斬り捨てられる。「シン」の中で最速のトニー。その姿は閃光となって第一階層を駆け抜ける。

「終わったぜ」

 トニーが戦闘を開始して五分も掛からず決着がついた。全てのダークラビットが斬られ、地面に横たわっている。功労者を称え、メンバー全員がトニーとハイタッチをしていく。

 ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ。

 この階層にいるダークラビットを全て倒したことにより、第二階層に進むための巨大な扉が大きな音を立てて開く。

「よし、次だ!」

 プライ達は、扉の中に入る。七人全員が扉をくぐると、扉がバタンと閉じた。扉が閉じた瞬間、斬られた一万匹のダークラビット達の体がムクムクと再生していく。斬られた傷が完全に再生すると、ダークラビット達は立ち上がり次の侵入者を待ち構える。


ダンジョン攻略メンバー「シン」。第一階層クリア。



ダンジョン第二階層:「土人形の間」。

クリア条件:『この階層にいるゴーレムを倒すこと』


「ゴアアアアアア!」

 ダンジョン第二階層には体長三メートルを超えるゴーレムが一体いた。ゴーレムは巨大な拳を振い攻撃してくる。その力は人間の頭蓋骨を簡単に砕くだろう。

「よっと」

 しかし、ヴィーはゴーレムの攻撃を容易く避ける。このゴーレムは、パワーはあるがスピードがない。そのため、簡単に攻撃を避けることが出来る。

「ワシに任せろ!」

 メンバー随一の怪力であるスロウがゴーレムに斧を振るう。動きの遅いゴーレムは防御が間に合わず、攻撃をまともに受けてガラガラと崩れ落ちた。

 

ダンジョン攻略メンバー「シン」。第二階層クリア。



ダンジョン第三階層:「ゴブリンの間」。

クリア条件:『この階層にいるゴブリンを全て倒すこと』


「キシシシシシ」

 ゴブリン達が笑いながら弓矢を雨のように射てくる。第三階層はたくさんの岩が転がっており、ゴブリン達は岩に身を隠しながら矢を放ってくる。

「ラスト!」

「O.K!」

 弓矢使いのラストがゴブリンを射る。

「ギャ!」

「グエ!」

 ゴブリンが矢を射ようと岩陰から姿を現す一瞬を狙ってラストは弓を放つ。百発百中のラストの矢が正確にゴブリンに命中していく。

「ガギャ!」

 最後のゴブリンの額に矢が刺さり動かなくなった所で、次の階層への扉が開いた。ゴブリンに刺さった矢を回収して次に進む。

 

ダンジョン攻略メンバー「シン」。第三階層クリア。


「ここまでは、順調だな」

「ああ!」

 第三階層と第四階層を結ぶ階段、そこでヴィーとトニーは拳を突き合せながら笑う。

「油断するな!」

 明らかに気が緩んでいるメンバーにプライが檄を飛ばす

「ここはダンジョンなんだぞ!絶対に油断するな!」

「あ、ああ」

「……分かったよ」

 プライに叱られたヴィーとトニーが小さな返事を返す。それを見ていたラストがやれやれと肩をすくめる。

「ダンジョンは下に行くほど難易度も上がる。そうだな、アリス?」

「はっ、はい!」

 回復魔法担当の魔法使いで、遺跡学者でもあるアリスはコクコクと頷く。

「第十階層からは魔物の強さも急激に上がります。それに単に魔物を倒すだけでなく、知恵や知識を試される階層も増えてきます」

「うげっ、知恵や知識……」

 トニーは舌を出して嫌そうな顔をする。彼は頭を使うことがあまり得意ではない。

「ショートカットを見付けられてたらなぁ、一気に十階層まで飛べたのにな」

 ヴィーは頭の後ろに両手を回しながらぼやく。

「まったく、最近の若者はすぐ楽をしようとする」

 メンバー最年長のスロウが頭を振る。

「今から、楽しようとすると将来ろくなことにならんぞ。辛いことも、それはきっと将来の役に……」

「はいはい、分かりましたよ。うるさい爺さんだな」

「何!?」

「まぁ、まぁ。二人とも」

 アリスがヴィーとスロウの間に入り、二人をなだめる。それで、何とか争いは収まった。

「全く、これだから最近の若者は……」

 ぶつぶつと文句を言うスロウ。ヴィーとスロウはいつもこんな調子で口喧嘩をしている。だが、戦闘となるとぴったり息が合う。きっと、お互いが本気で嫌い合ってはいない証拠だろう。

「でも、ヴィーの言う通りショートカットできる場所は、きっとどこかにあるはずです」

 アリスが小さな声で呟く。


 ダンジョンには、地図が存在する。

 この地図はダンジョンの設計者が描いたものとされているが、こちらの地図もダンジョンと同じく詳細は一切分かっていない。地図は本の形をしており、ページごとにその階層の地形やクリア条件などの情報が詳しく書かれている。ダンジョンに潜る際の必需品であり、魔法により数多く複写されている。

 ただし、最後の五十階層については空白となっており、そこにどんな魔物がいるのか、どんな難題が待ち構えているのは謎である。

 地図には『近道』について書かれているページもある。それによると近道のルートを使えば一気に十階層から始めることができるらしい。


 そのページには奇妙な銅像と共に、このような言葉が書かれている。

『我に魔物の血を捧げ、我を壊す力を示せ。さすれば栄光への近道が開く』


 五十階層の内の五分の一を飛ばすことが出来る。これは体力や魔力などを考慮すると、攻略をかなり有利に進められるため、ダンジョン攻略を目指す者達はこぞってそのページに描かれている銅像を探した。きっとその銅像がダンジョンの近道を開く鍵に違いないと誰もが考えた。しかし、地図にはその銅像がある場所については、何も書かれていない。

 そのため、どこに地図に描かれている銅像があるのか、誰にも分からなかった。

「シン」も様々な場所を探したが、遂に銅像を見付けることは出来なかった。


「ダンジョンを研究している人間の中には、そんな銅像など存在していないと考える人達もいます。でも、私はきっとあると信じています」

 これだけダンジョンについて詳しく記述されている地図だ。近道についての記述だけ嘘だとは思えないというのがアリスの考えだ。

「でも、誰も見付けられてないんじゃな」

「見つけられた奴は相当な幸運の持ち主だろうな」

 ヴィーとトニーの言うことは一見もっともだ。誰だって少しでも近道が出来るのなら、そちらの道を選ぶだろう。しかし、最年長のスロウの考えは違っていた。

「ワシは、そうは思わん。逆に近道を見付けられた者は不幸だと思う」

 スロウの言葉にトニーが眉根を上げる。

「どうして?」

「考えてもみろ。ダンジョンは下に行くほど魔物の強さも強くなる。十階層からは魔物の強さも急激に上がるのだろう?」

「それが?」

「ということは、近道に入った者はいきなり十階層にいる魔物と戦うことになる。ワシらのように徐々にダンジョンに慣れることも出来ずにいきなり強敵と戦わなくてはならんということだ」

「……なるほど」

 スロウの話にプライは頷く。確かに一階層から始めれば、体力や魔力の消費も大きくなる。しかし、ダンジョンでの戦闘に慣れることは出来る。最初は魔物も弱いため、少しずつダンジョンの独特な空気を掴むことが出来るのだ。ダンジョンの構造は各階層によって違うが、似ている構造をしている場所もある。十階層に到達する頃にはダンジョンでの戦闘にもすっかり慣れることだろう。

 一方、十階層から始めれば体力や魔力の面では有利だ。だが、ダンジョンの構造に体が慣れていない状態から、いきなり強敵と戦わなくてはならない。戦闘では地形に対する慣れが勝敗を左右することも多い。スロウの話を聞くと確かに近道に入ることが良いことばかりではないような気もする。

 話しをしている内にメンバーの目の前に次の扉が現れた。

「よし、お喋りはここまでだ。扉を開くぞ」

 先程までの空気から一変して全員の顔が引き締まる。この切り替えの早さも彼らの強さの内の一つだ。プライは巨大な扉を勢いよく開けた。

 

 その後も「シン」のメンバーは順調にダンジョンをクリアしていく。

 ダンジョン第四階層:「猫人の間」

 ダンジョン第五階層:「大蝦蟇の間」

 ダンジョン第六階層:「機械人形の間」

 ダンジョン第七階層:「蜥蜴人の間」

 ダンジョン第八階層:「砂人の間」

 ダンジョン第九階層:「火人の間」


 いずれの階層にいる魔物達も通常の冒険者であれば数人掛かりでやっと倒せるレベルだが、「シン」のメンバー達はあっさりと突破していく。それだけ、彼らの実力が他の冒険者達とかけ離れているのだ。

 そして、彼らは第十階層に到達する。


 ダンジョン第十階層:「蛇人の間」

 クリア条件:『この階層の蛇人を倒すこと』


 扉を開いた先にいたのは巨大な蛇だった。しかし、ただの蛇ではない。その上半身には腕が生えており、むき出しの口からは歯がびっしりと生えているのが見える。

 ナーガ。

 上半身は人間、下半身は大蛇という魔物。強力な力を持ち、複数の魔法も使える。

「蛇人ってナーガのことかよ!いきなり、レベル上がり過ぎだろ!」

 ヴィーの口から思ったことがそのまま漏れた。他のメンバー全員も口には出さなかったがヴィーと全く同じことを思っていた。

 今までの階層の敵は、一人だけでも倒すことが出来た。だが、ナーガは違う。ナーガはいくら「シン」のメンバーでも単独で倒すのは不可能だ。

「確かに、今までの魔物とは一味違うな!」

 だが、彼らに焦りはない。プライは全員に聞こえるように大声で叫ぶ。

「第一陣形!」

 プライの指示に全員が素早く動く。プライ、トニー、スロウは最前列へ。ラスト、ヴィーはその後ろへ。アリス、ジェラスは最後方に陣取る。彼らが強敵と戦う時にとる陣形の内の一つだ。

 ナーガがゆっくりと動き出す。それを合図にプライの号令が響いた。

「戦闘開始!」

 全員が一気にナーガに詰め寄る。「シン」のメンバーは一人一人が一騎当千の強者だ。だが、彼らが強さは単体での強さだけではない。

 チームでの連携した戦闘。その瞬間にこそ、彼らの真の力が発揮される。


「グアアアアアアア」

 戦闘開始から、約十分後。断末魔の叫びを上げて、ナーガが倒れた。プライは全員の無事を確認する。

「怪我をした者はいるか?」

「俺は大丈夫だ!」

「俺も平気だ」

「私も!」

「私も大丈夫」

「少し擦りむいたが、平気だ。回復魔法は不要!」

「……平気」

 大きな怪我を負ったものはいないようだ。プライがほっと胸を撫で下ろしていると、ゴゴゴゴゴゴと次の階層への扉が開く。

「よし、行こう」

「このまま、次の階層へ?」

「いや、途中の通路で休憩をとって次に進む」

 全員の体力は減っているが、この様子だと体力回復の薬を飲むまでもないだろう。

「分かりました」

 プライが歩き出すと他のメンバー全員が後に続く。プライは倒れているナーガをちらりと見た。

(これから先は、もっと強い魔物が出てくるのだろうな)

 ダンジョン攻略はこれからが本番だ。プライは気合を入れ、扉をくぐった。七人全員が扉をくぐると、扉がバタンと閉じる。

 扉が閉じると同時に、ナーガの体が再生を始める。ナーガだけではない。凄まじい戦闘で傷ついた壁や床も再生してゆく。

「グアアアアア」

 体が完全に再生し終えると、ナーガは雄叫びを上げた。人間の上半身を持つ大蛇は次の侵入者を待ち構える。



 ダンジョンの各階層にいる魔物に寿命はない。餓死することもなければ病気になることもない。例え、ダンジョンに侵入した者に倒されても彼らが次の階層へと続く扉に入り、扉が閉まれば自動的に体の損傷は治る。

 彼らが死ぬことはない。何故なら彼らはもう死んでいるのだから。

 ダンジョンにいる魔物のほとんどが、元々外にいた者達だ。彼らは殺され、魔法によって動く屍人形と化している。

 彼らは、淡々と階層への侵入者を倒すように設定されている。

 十階層にいるナーガもそうだ。元はとある山奥で暮らしており、その周辺一帯の主であったが殺され、操り人形とされてしまった。もう何百年ここにいるのかも分からない。

 普通なら発狂しているだろうが、人形はそんなことを考えることすらしない。例え、倒されたとしても恐怖を感じることもない。ただ、ひたすらここで侵入者を待ち構える。


 バチバチ。


 突如として、天井から音がした。ナーガは天井を見る。それは彼が此処に閉じ込められてから初めて聞く音だった。

 バチバチバチバチバチバチバチバチバチバチバチバチバチバチバチバチバチバチ。

 音はさらに激しさを増す。そして、天井に円形状の穴が開いた。

 何か来る!

 ナーガの鋭い五感が侵入者の存在を感知する。屍人形となったナーガだが、生前の能力と戦闘に関する思考はあえて残されていた。ナーガは戦闘態勢をとる。例え、不測の事態が起きたとしても彼のとる行動は変わらない。

 やがて、上から侵入者が落ちてきた。何者だろうと落下中は隙だらけだ。ナーガはその瞬間を狙って侵入者に鋭い爪を振るう。


 グシャ。


 ナーガの爪は侵入者に傷を負わせることすらできなかった。ナーガは、そのまま巨大な侵入者の下敷きとなり、潰れた。



『ああ、ビックリした!』

 着地したティラノサウルスは、ふぅと息を吐く。いきなり地面がなくなり、真っ逆さまに落ちた。前にも同じ体験をしたことがあるが、何度経験しても慣れるものではない。

『うん?』

 ティラノサウルスはそこで初めて、自分が何かを踏んでいることに気が付いた。

『何だ?これ?』

 クンクンと臭いを嗅ぐ。どうやら動物の肉の様だ。試しに一口食べてみる。

『美味しい!』

 なかなかの味だ。だが、残念なことに彼の腹は今満たされている。

『もっと食べたいけど仕方ないな』

 ティラノサウルスは潰れた肉塊から降りると、周囲を歩き回る。

『ここは、何処だろう?』

 周囲は岩の壁に囲まれている。一部、岩とは違う部分はあるが出口はない。

『ま、いっか』

 ティラノサウルスは上を見上げる。そこには自分が落ちてきた穴があった。ティラノサウルスはそこから出るため、深く屈む。その時、天井の穴から声が聞こえた。

 声はどんどん近づいて来る。

「マルスウウウウウウウウ!」

 天井の穴から、落ちてきたのは最近ティラノサウルスと一緒にいる空を飛ぶ二本足の動物だった。


「マルス、ロテイウヨテムラ(王、怪我は御座いませんか?)」

 ティラノサウルスを追ってやって来たのは、エルフのナノだ。ナノはティラノサウルスの体を隅々まで調べ、怪我がないことを確認するとほっと息を吐いた。

「ロテオイロナシ、アイルイ(怪我もないようで、安心しました)」

 ナノはニコリとほほ笑む。

「トジョライテコロミシュア?コイロイムナーガ、リイヤマルスオテオシムオテオシム?(ところで、この魔物は?見た所ナーガの様ですが、まさか王がお倒しになられたのですか?)」

 変わり果てた肉塊となってもナノにはナーガだと分かるようだった。ナノは感激した様子で両手を組む。

「サライテマルス!(流石は王!)」

『……』

 絶賛するナノを無視して、ティラノサウルスは再び大きく屈む。すると、また天井の穴から音が聞こえてきた。だが、今度は生物の鳴き声などではない。グウウウウウウンという鈍い音だ。

『なんだ?』

 ティラノサウルスが不思議そうに首を捻る。ナノも何事かと天井の穴をじっと見る。

『あっ!』

「あ!」

 ティラノサウルスとナノが同時に目を見開く。天井に開いた穴が突然消えたのだ。

『消えちゃった』

 さっさと、ジャンプしていれば良かったなとティラノサウルスは思う。

「モ、モウレテオイシ!ミクレネヨイテ……(も、申し訳ございません!私のせいで……)」

 ナノはティラノサウルスに頭を下げる。自分のせいでティラノサウルスが此処から逃げ出すチャンスを失ったことを心から悔いている。

 ティラノサウルスは謝罪するナノを無視して、再びキョロキョロと周りを見渡す。

『さてと、どうしようかな?』

 いっそ天井をぶち破るか?そんなことを考えていると、今度はゴゴゴゴゴゴと壁の方から音がした。

『うん?』

 ティラノサウルスが音のする方を見ると壁の岩ではない部分が動いていた。そこにティラノサウルスでも通れるぐらいの大きな空間が生まれている。

『おお!』

 ティラノサウルスは、さっそくそちらに歩き出す。

「オ、オリピタルマルス!ワルクルイテル……(お、お待ちください王!罠の可能性が……)」

 ナノは、此処がどこだか分かっていない。どこだか分からない以上、むやみに歩き回るのは危険だ。だが、止めるナノを無視してティラノサウルスは壁に開いた空間に入っていく。

「アア、マルス。ナホメナイルモア!(ああ、王。なんと勇気のある!)」

 ナノは感動し、両手で口を覆う。王が行くというのなら自分も当然ついていく。ティラノサウルスを追ってナノも扉の中に入った。

 ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴと音を響かせ扉が閉まる。

 扉が閉じると同時に、ナーガの体が再生を始める。完全に元の体に再生したナーガは次の侵入者を待ち構える。



「大型獣脚類ティラノサウルス及びエルフ族ナノ」、第十階層クリア。



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