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迷惑をかけろ(sideF)


『たいちょう、前方約30mに敵が数名隠れています。あと、敵方の狙撃手と思われる者が私のいる位置から大体反対側にいるのですが、うっても良いですか?』


あんなに吃りまくりの彼女がこんなになるとは思わなかった。


『良い。俺の援護頼む。』


『神幸、俺の援護もしろよ』


無線機からもう一つ声が出る。テノールの凛とした声だ。


3ヶ月前神幸が第十部隊にはいった後にはもう少し続きがある。


『ふっくー!取り敢えず自己紹介しちゃおうよ!』


『そうやな。自己紹介しよか。』


変な呼び方をしている中低音の明るい声をしているのが

『俺からね!俺は将来大将になる予定のとてもクールなイケメン、立花颯だ!宜しく頼むぞさっちー!』

……クールとはかけ離れてる奴が何言ってんだか。こいつが第54期重型切断武器優秀者の立花颯。このバカ丸出しの自己紹介でわかると思うが、呑気なお調子者である。


こいつの自己紹介を聞いた神幸はどんな反応をしているのか気になった俺は横目で神幸の方を見る。

神幸は立花の背中にある斧をガン見していた。


『イケメンとか…よぅその顔で言えるわ。』


この、男にしては少し高めの通る声をした関西弁の男。


『まぁええわ。次は俺やな。俺は赤井大介や。近距離戦は得意やけど、ナイフとかじゃなくて、刀を振り回しとる。

よろしく頼むわ。』


神幸は少し怖がってるように見えた。理由はわからんが身長190近くもある細長い奴を見たら誰でもビビるよな。

ちなみに赤井は立花と同じ第54期生で軽型切断武器最優秀者だ。

俺はまた神幸に目をやると、彼女は刀をガン見していた。おそらく彼女は武器好きなんだろう。


『次は僕ですね。僕は延命瑞樹。君と同じ狙撃手です。』


甘い中音の声をする延命は『宜しくお願いしますね。』何て言いながら、神幸の手を握った。延命は第53期狙撃優秀者だ。延命が手を握り微笑むと神幸は頬をほんのり染めた。

イケメンだからか。


『次は隊長ですよ。』

延命が言う。


『あー………俺は第十部隊特殊班隊長の福井誠司だ。遠距離は得意じゃないが、近距離なら、まぁまぁ得意だ。これから宜しく頼む。』


自己紹介って恥ずかしいなぁなんて思っていると、立花が『隊長は第54期体術最優秀賞と短刀型切断武器最優秀賞をとった凄い人なんだぞ~』と言っている。

すると静かに俺達の自己紹介をきいていた神幸がおずおずと喋り始めた。


『私も、先程緊張し過ぎて何言ってるのかわからなかったと思うので、もう一回自己紹介しても良いですか……?』


『あぁ、構わない』

神幸の問いに俺は答えた。

すると、神幸は喋り始めた。


『有難うございます。私は神幸祈です。狙撃手としては第58期最優秀者となりましたが、近距離はてんでダメです。

ですが、自分の身は自分で護れます。迷惑は絶対にかけません。なので、私を第十部隊特殊班においてください。お願いします。』


最後の方につれ 声が震え、小さくなっていく様子に俺は何も言うことが出来なかった。



『アンタあほか。』


赤井の声が響く。


『おくもなにも、お前はもう第十部隊にはいってるやんけ。迷惑かけへんとか、いくら成績優秀者でも無理や。別に女やからってなめたりも俺らはせぇへん。でもな、よく聞けよ神幸。』


『俺らはチームになるんや。チームは足引っ張り合い合いながら迷惑かけながら一緒に過ごしていくもんや。』


『だから、たくさん迷惑をかけろ』


赤井は真っ直ぐに神幸を見つめながら言った。

赤井の言葉に目を見開いた後、彼女はふんわりと微笑み、震える声で『ありがとうございます』といっていた。

そんな彼女を《美しい》と思ったのは、俺だけの秘密にしておく。


別名自己紹介編

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