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豆と雲(仮)  作者: 醤油団子犬
1/1

1,初夏の半日

店は近隣の会社員達で混んでいた。

結構大きな観葉植物がそこかしこに置いてあるが、管理がいいのか埃なんて纏っていない。

清潔でここはお気に入りのお店。


席に案内され、すぐに遊佐くんタラコパスタ、私はトマトの冷製パスタと食後のコーヒーを頼む。

と、目があった途端遊佐くんが爆笑している。

「どうしたの?」

声を出さないように苦労しながら目に涙を貯めて肩を揺らしている。

「ああ、今丁度後ろ向いてるからいいかな、左奥見てごらん。」

言われたように見てみると、課長の薄ら頭が見える。

いつもコンビニがお弁当屋さんの一番安いお弁当しか食べないのに何故ココにいるんだろう。

訳がわからなくって遊佐くんを見ると、

「気になったんじゃないの?デートでもするかと邪推してるんだと思う。」


違うっつーの。

明日一緒に出かける約束はしている。彼の紹介で、週末ヒマな人間で集って屋外活動するゆるーいサークルに入ったんだ。

早朝に川に集まって、カヌーとラフティングの会に参加するつもりなのだ。

川遊びなんて初めてなんで、現地までは彼に連れて行って貰うことと、服装とか保険についての説明を聞こうとしていただけなのに。

はぁーー、と溜息をつくと遊佐くんの目がお疲れ様って笑ってる。

あなた、若干楽しんでるでしょ。

「課長、こっちジーーっと見てるよ、さっきから。」

も、無視無視!

明日の集合場所や時間、色々話さなくっちゃいけない事沢山あるんだから変な人に構って居られない。

パスタが届くまで、色々彼からレクチャーを受け、保険で5000円くらいかかる所まで教えてもらった。


しばらく食べることに専念する。

遊佐くんは、クルクルとパスタを巻きつけゆったりと咀嚼している。間違ってもズルズルやらかさない。いつ見ても彼の食事風景は優雅だ。

私のパスタは、タップリの刻んだ紫蘇と完熟トマトがパスタの淡い黄色に映えている。

ひんやりした口当たりで柔らかな酸味とオリーブのコクが口に広がる。燻製醤油というのを味付けに使っているので噛みしめるとスモーキーな風味がする。

極楽~!

と、味わい噛み締めていると

「ズルズルズルズルーーーーーーーーーーー!」

蕎麦を食べる時だってこんなに凄い音たてないぞってくらいの音が聞こえてきた。

遊佐くんがきょとんとしている。

いや、見ないぞ、絶対そっちは見ない。

だってあれは間違いなく課長だもん。

周りの席のOLさんが、眉を顰めたり、クスクス笑っている人も居る。


遊佐くんは、こういう時も驚きはしても一緒にあざ笑ったりしない。

ポーカーフェイスのまま、食事を続けている。

本当に育ちのいい子だなって思う、同い年だけど。


彼もコーヒーを頼んで、レクチャーの続きを聞く。


全身タイツみたいなスーツを着るので服装は動きやすければいいみたい。

専任のインストラクチャーさんを雇うので、初心者でも安心らしい。

コーヒーも終わって丁度いい時間になったので、会社に戻り歯を磨く。

ホワイトボードの欄を元に戻して仕事の続きだ。




はぁ、帰る時間だ。

「明日、土曜だけど午前中だけ出て資料まとめとけ。冊子にして会議用に出せる状態にしとけよ。」

課長、、、、、。

























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