だから、嫌だったんだ
遅くなりました!
新年度ということで心を改め、真面目に頑張りたいと思います。今後とも宜しくお願いします。
*7月13日に本文を変えました。勝手ですいません。
「それにしても、本当に久しぶりだねぇ。シェリは今まで何してたの?母さんも心配してたよ?」
食堂への道のりを(仕方なく)一緒に行くことになったクライドは、にこにこ笑いながらそう話しかけてくるが、今の私には返事を返すことは出来なかった。なぜなら、
(痛い、視線が痛い......。視線で死ねそう、グフォ!?)
「あ、クライド!今から誘いに行こうと思ってたんだけど、一緒に遊ばない?」
「絶対楽しいよ!一緒に行こうよぉ!」
それまで、建物の影から私を睨みつけていた視線の持ち主たちが、クライドに駆け寄ると私と引き離そうとしているのか、力強く間に割り込んできた。その勢いに思わず倒れ込んでしまう私を彼女達は横目で確認しながらも、決して私に手を貸そうとしないどころか謝ろうともしない。私を見た目は、小馬鹿にしたようなものだった。まるで、あなた如きがクライドと二人きりで話そうとしてるんじゃないわよ!この身の程知らずのブスが!と言っているようだった。目は口ほどに物を言う。この的を射た言葉を作った前世の先人よ。あなたは本当にすごいよ......。
(だから、こいつと一緒に歩きたくなかったんだよ)
毎回毎回、クライドと会うとこの繰り返しになってきてる。出会った当初は、女の子達の態度もここまであからさまじゃなかった筈なのだが、最近はこんなことばかりだ。まぁ、流石に突き飛ばされた?のは初めてだが。やはり、お年頃というものだろうか。好きな人が、知らない女と歩いてたら嫌なんだろう。嫌なんだろうけど、
(突き飛ばすのはひどくない?)
いつもだったら、すぐに受身を取るか何かしらの反応ができたんだろうけど、何を食べるのか考えてたら反応が遅れてしまった。
(この世で一番恐ろしいのは、恋する乙女達だと思う......)
「あ!大丈夫、シェリ!?怪我、してない?」
(空気読めよーーーー!!)
クライドは見たことのないような慌てた顔をすると、女の子を振り解きこちらに来た。クライドさん、わざと?ねぇ、あなたわざとなの?私になにか恨みでもあるの?もしかしてあれか?前回会った時にもってたお菓子を奪ってやったからか?いや、確かに私も悪かったけどさぁ、やり過ぎだよ。横見てみ、横。熱い視線のおかげで、私、こんがり焦げたステーキになっちゃうよ。
「だ、大丈夫だよ、クライド。それよりも、その子達が誘ってくれてるんだから、遊んで来れば?私も今日はおばさんの所に行ったら、すぐ帰るつもりだったし」
(よし行け、そら行け!私は、自分が料理になるために来たんじゃない。料理を食べるために来たんだ。面倒事なんか受け付けてないんだよ!!)
そう思って、今までで一番いい笑顔で返すと、奴は何故か顔を赤らめると、
「えぇ!俺はシェリと一緒がいいよぉ!シェリといっぱい遊びたいもん!こんな良くわかんない子達なんか知らないしぃ!」
爆弾を落とした。