5.お菓子がいっぱい、変態も一体
二話投稿しましたので、ご注意ください。
「おぉ〜、あ、おじさん、そのお菓子三つね」
「あいよっ。おっ、嬢ちゃん久しぶりじゃねぇか!よし、おまけにこいつ持って来な!!」
「ありがと〜」
それにしても、子供とは得だな!!ただ、買い物をしてるだけで色々貰えるんだから。私のコートのポケットはたくさんのお菓子でパンパンに膨れている。
今私は、この王都のメインストリートとも呼べるラウラ通りを歩いている。念の為にと用意してあったお金と、いつでも換金できるようにと持ってきた宝石類のおかげで、別段困ったこともなくもぐもぐお菓子を食べながらお店を見ていく。
「あ、おばちゃん!!」
「おや、シェリちゃんじゃないかい?久しぶりだねぇ。今までどうしてたんだい?」
「家から出してもらえなくてさぁ。来れなかったんだよね」
私は、ここではシェリと言う名前を名乗っている。まさか、侯爵家のお嬢様が、お供の一人もつけないで歩いているなんてばれたら面倒だし、敬って欲しいわけでもない。前世が庶民だったからか、こういう活気のある、暖かい雰囲気は性に合う。今の家族や、使用人の皆の事が嫌いなわけではないし、好きなのだが、貴族社会というのは、気が抜けないから疲れる。だから、余計この空気が心地いい。
「おやおや、そうだったのかい。よくわかんないけど、大変だったんだねぇ。ま、これでも持ってきな」
そう言って渡されたのは私の大好きな棒付きキャンディだった。
「わぁ、これすごく美味しくて大好きなんだ!ありがと、おばちゃん」
私が満面の笑みで受け取るとおばちゃんも嬉しそうに笑っていた。だからまさか、私がキャンディを見ていた時におばちゃんが他の商店街の人達に対して得意げに笑っていたことも、それを見た他の人達が悔しそうにしていた事にも気付かなかった。
おばちゃんにお別れを言ってから一人歩いていると、後ろから足音がするので私に触れるであろう直前に素早く右によけると、勢いが止まらなかったのか、その人物は私の目の前ですっ転ぶ。
「あれ?クライドじゃん。どうしたの?」
「いやいや、どうしたの?ってさぁ、原因は君だよねぇ」
「はぁ?なんで私が原因なのさ。後ろから不審者が来たら、普通よけるでしょ。じゃあ聞くけど、私に何をしようとした?」
「え、抱きつこうとしてたけど?」
「この話を聞いたら、誰もが私の味方をすると思うよ、この変態野郎」
何さらっとセクハラしようとしてたこと言ってんだよ。この馬鹿は。
シェリーナは、皆に可愛がられていて、誰が一番シェリーナを喜ばせられるかで競い合っています。
今回は、おばちゃんの勝利ですね(笑)