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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

玉手箱

作者: 詠人不知

玉手箱


(1)

 浦島太郎がもらった玉手箱。絶望に暮れて開けたがその中身は空だった。        


(詐欺、押し売り、キャッチセールスには気をつけましょう。k県警察本部 k県消費者センター)



(2)

 太郎が開けた玉手箱。果たしてその中身は…。

紙が一枚入っていたので太郎は手にとって読んでみた。

「はずれ。またのお越しをお待ちしております。 竜宮城観光協会」


 太郎は再び亀探しの旅に出かけた…。

(教訓:二匹目のドジョウはいない…。いや、亀か…。)



(3)


またまた玉手箱。ふたを開けた太郎は、見る見るうちに若返った。そして


「オギャー、オギャー」これは若返りすぎ。

 そこへたまたま仙人が通りかかる。

仙人は何を思ったか、懐からおもむろに桃を取り出すと、呪文を詠唱すると、桃は巨大化し赤ん坊は桃の中に消えてしまう。

 仙人はそれを軽々と持ち上げると、彼方へと放り投げた。


…三日後…

 とある川で婆ぁが洗濯をしていると大きな桃が「ドンブラコ、ドンブラコ」と流されてきて…(って、オイオイ…)



(4)

浦島太郎が玉手箱を開いた瞬間、玉手箱に飲み込まれた。

 虚無へ飲み込まれてしまったのだ。その後玉手箱は、不気味に閉まり、次の餌食を待ち続けるのだった。




(5)

 浦島太郎が玉手箱を開けた瞬間、太郎は玉手箱の中に吸い込まれ、蓋は自動的に閉まる。 やがて、太郎を降ろして帰ったはずの亀が、戻ってくる。そして、玉手箱を回収すると、竜宮城に帰還した。


竜宮城謁見の間。


「乙姫殿下、ただいま帰還しました」

「遅かったじゃない。待ちくたびれたわ」

 不機嫌な乙姫の前に、亀が玉手箱を恭しくさし出す。乙姫はそれを手に取り、

「あらまだいたの?下がっていいわよ」

と言い残すと、さっさと自室に下がってしまった。


乙姫自室。

「これよこれ。絶望の淵にある人間のエキス。これが不老不死の秘訣よね」

玉手箱から滴り落ちた液体を、瑠璃の椀にうつし、眺めながら、乙姫は満足そうに呟くのだった。

 

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― 新着の感想 ―
[一言] 何パターンものバットエンディング。 浦島太郎が幸せになれないことが、よく分かるお話でございました……。 コンパクトな中にも、技巧が凝らされた作品で、 ああ、こういうやり方もあるんだなって…
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