クラスメイトその5
長らく柊の方お休みしててごめんなさい。
先のお約束はできないのですが、こっちだけでもまたぼちぼち書きたいなと思っております。
「お? 見せつけてくれるねぇ、ご両人」
滝沢くん、だっけ? 話したことは殆どないけど、坂本とはよく一緒にいるのを見かけいたから多分彼にとっては友達、なのかな?
とはいえ、妙に含みのある声音におや? とも思う。
懐かしいとは思わないし、良い記憶ではないけれど、慣れ親しんでしまったこの感じ
「別に委員の相談しているだけだろ? 変な言い方するな」
坂本も揶揄ってると感じたのかにべもなく返しているから、このまま流してしまおうと思ったのだけれど
「そんな言い方したら藤堂さん可哀想じゃない? 折角仲良くしているのに……ねぇ?」
粘着質に私にまで絡んで来るのに、つい視線を向けてしまうと、冷やかすようなにやついた笑み
「ご心配なく、私は坂本のクラスメイトその5になれれば満足だから」
だから、つい打ち返すような返信をしてしまった
「その……5?」
すると、滝沢くんはひくりと頬をひきつらせそのまま言葉を失ってしまって
あれ? 一応笑顔添えたからそこまできつくしたつもりはないのだけど……やり過ぎた?
毒気を抜かれた様子の滝沢君が廊下に出て行くのを見送って、はっとする、彼は一応坂本の友達だった筈、それに私の発言も……
「ごめん」
「ん? なにがだ?」
でも、いぶかしげに首をかしげるから怒ってはいないみたい
「勝手にクラスメイトその5とか言っちゃったからさ、坂本にも言い分あるよね、それになんかつい強めな言い返しをしちゃったし……友達なんでしょう? 引いてたみたいだからフォローしてこようか?」
「……別に仲いいわけじゃねーし、そんなことしなくていい」
小さな声だけれど思い詰めたような響きで答えが返ってくるのに少し驚く。
「ん?」
「5番目とかじゃねーけど……お前はクラスメイトだし、委員会も一緒、だし? お前の方が……トモダチ、だろ」
ふと下を見ると、その拳は強く握られていて、その真摯さに坂本も譲ってくれているのを感じる。
多分彼にとって私は色々受け止め難い人間なんだろう、敵対関係ではなくなって同じクラスになってからでも、色々立場や考え方による違いは感じてきた。
だけど、同時に彼なりに今までの行いを悔いてくれて、私をわかってくれようとしているのも知ってる、から
「ありがとう……」
図らずも、少し嬉しくなってしまった。
「それに、お前は俺に何をしたって、礼を言ったり、謝ったりしなくていい」
だけど、急にそんな事を堪りかねたように言うから吃驚してしまう
「そう、かな? でもさ? 私がみんなに質問責めにあっている時は逃がしてくれたし、さっきの滝沢くんからの変な絡みも引き受けてくれて、私はありがたいよ?」
彼が私に罪悪感を抱き続けているのは判っているし、実際彼のしてきたことは褒められたものではないと思ってはいる、でも……
辛そうに眉根を寄せてそこには、一条のような深いしわがあって
「えい」
「っ!?……な、なんだ」
思わず突いてしまったら、眉間を押さえて上目使いで戸惑ったように見つめてくる
……こんな時、昔なら、彼はどう反応しただろう? なんて、考えるまでもない。
そもそも、そんな場所に触れられるほど、私の近くに来ることはなかったし、もし間違って触れようものなら烈火のごとく怒っただろう。
「そんな簡単に、男に触るんじゃねぇよ……あぶねーだろ?」
なのに今は、その視線をすっと逸らせて、私を心配してくれてるらしい言葉が帰ってくるのだから……。
「無かったことにはならない、でもさ、それが良いこともあるんじゃない?」
「え?」
「あの坂本が私の心配をしてくれた、って思うと、見ず知らずの坂本君が心配してくれた、より、こう胸に届くっていうか……ね?」
言いながら、親友の言葉を思い出した。
—— 敵と味方の二元論じゃ、この先カテゴリー足りなくなるよ ——
そうだね、あの坂本だからこそ、って思う日が来るなんて思わなかったよ。
読んでいただきありがとうございます。
もっと、坂本君がまぜっ返すシーンを書こうとして、書けなくて、ああ、彼にはまだ無理なんだなと感じました。
こういう時にその人っぽさを感じ、良くも悪くも動かしにくくなるという。




