言えない言葉②
前作が妙に続いてしまいました……。
ただ、鳴木君ならでは感は出せたかなぁ、と、思います。
「鳴木……放課後時間貰えないか?」
1時間目の英語が終わるなり、隣のクラスの坂本が教室に入ってきて、真面目な顔してそんなことを言ってきた時から、嫌な予感はしていたんだ……。
俺に聞いて欲しい事があるらしい、で、教室……どころか、校内ではしたくないというので駅の近くの公園を考えたが、あそこも通学路だけに、まぁまぁ在校生がいる……となると、次に浮かんだのは例の河川敷だったが、どうにもそれを提案する気になれなかったのは俺の心の狭さ……なら、いっそ中学校の近くの公園はどうかと言えば、遠いと文句をつける事も無く頷くのに、よほど聞かれたくなく、それでも話さずには居られない話かと……ますます気は重くなった。
「で? どうした?」
つくなりベンチに座り込んで、うつむく坂本、そのまましばし固まるのに取りあえず近くにあった自販機からコーラを買って……ちょっと考えて緑茶を買ってみた
「それやるから、飲んで落ち着け? 因みにそれ、あいつがいつも飲んでるお気に入り」
誰、とはあえて言わなかったが、瞬間坂本はその缶をぎゅっと握りしめると、かすかに聞こえるくらいの擦れた小声で
「ダメ……なんだ、迷惑になるって、判ってる、のに……消せない」
さもありなん、と、こっそりため息をついた。
「まぁ、誰の事か、何の事かとか今更言う気は無いが……何で俺だ?」
多分、コイツは、普通に俺をライバルとしての立ち位置だとはとっくに判ってるはず、だが
「他に誰にも言えない、だろ? 中学と高校どっちの友達にも、万が一他に話したら面白がる奴もいるかもって……もう、あいつを変な噂の餌食には出来ない」
戻った返事に少しだけ感心する、今更虫が良いとか思っちゃ居たが、最低限守りたいとかは思ってた訳か
「この前、告り……かけた、あんな、ふうに気持ちが溢れそうになるとか初めてで……」
「……よく、止まったな」
「怒らないのか?」
「権利がないからな、俺には……それに止まったんだろ?」
「困らせるだけって事くらいは分かってる、今はどうやら友達……みたいに言ってくれてるから、それ、裏切れ無い……そもそも、ちょっと前まで散々馬鹿な態度取ってきて、そんなのっ……」
「……んで? お前は俺にどうして欲しいんだ?」
「……殴るか止めるか、してくるかな……って」
「あの、なぁ、何度も言わせるな、俺にはそんな権利はない、それに……ブレーキなんて自分で掛けなきゃ、いずれ同じ事だ」
「……っ」
薄々判っても居たんだろう、気持ちなんて人に抑えて貰えるものじゃ無い、って。
……だが、俺の言葉に肩をがくりと落とす姿にため息が漏れる。
心底、そんな事はしたくも無いし、聞きたくも無い……んだが
「時々なら、聞いてやる」
「え?」
「多分、お前煮詰まってるんだ、誰にも言えなくて、気持ちばかり膨らんで、なのにその原因は隣でのんきな顔してるんだろ?」
「……っ、あぁ、しかも同じクラスに、ゴシップ好きな奴がいて、ちょいちょい、変な探りを入れてきたりもする、から……、大抵はいなせるんだが、最近、余裕なくて……」
取り繕う気も無い、弱音、でも守りたいというその健気さだけは、俺にも伝わって。
坂本の藤堂への気持ち、など聞かされるのは、勘弁なんだ、が……
こいつだってあの頃バスケ部のエースで、人気はあったって話は聞いていた。
ついでに別れたとは聞いてるが彼女も居て、それなりに女慣れしてるはずの奴。
それが今あいつと同じクラスで結局あの頃と同じくらいの執着を今度はしっかり自覚して、持ってる……。
恋愛経験なんてもので考えたら遙かに上とも言えるような奴に、情けを掛ける筋合いなど……と思わなくもないが、……俺の、傷つけるのも、怯えられるのも、逃げられるのも、怖くて胸の奥に隠してる気持ち、その閉じ込め続けても膨らむ苦しさは知ってるし、堪えきれず暴発すれば、きっと藤堂を傷つける……って心配は俺もコイツも同じで
「膨らんで、弾ける前に言いに来い、聞くくらいはしてやる……ため込むよりは、マシだろ?」
俺の言葉に坂本は、驚きを隠さずに俺を見つめると
「頼む……悪いな」
深く頭を下げてくるから……ホントにな、って思ったけど、軽く肩をたたいて、その返事は飲み込む事にした。
お読み頂き、ありがとうございます。
少し今まで感戻って来たと言いますか、切ない祭りが落ち着いてきた気がします。




