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例えばこんな高校生活(パラレル)4

前作を読んで頂いたうえ、感想やいいねまで、本当にありがとうございました。

引き続き楽しんでいただければ嬉しいです。


「ただいま」

「お帰り~」

「おかえりなさーい」

「お邪魔してまーす」

 あ? なんか今うちでするはずのない声が聞こえたような? あの声って……

「お前何してんだ(ウチ)で」

 まさかって台所に向かえば、そこには藤堂が長い髪を一つに結び、エプロン姿でみのりの後ろで手をひらひらと動かして居た。

「まぁまぁ、ご飯の時に説明するからさ、ナオくんはお風呂入ってきて」

 俺としてはさっさと訳を知りたかったが、部活でヘロヘロの自分の汗臭さも自覚はあるから、大人しく風呂場に向かったんだ、が……

「要は、これから土曜の夜は暫く藤堂が家に来るって事か?」

「そうそう、週末はみーちゃん来ること多いけど、私も夜出てしまうときもあるし、紗綾ちゃん来てくれたら安心かなって? 紗綾ちゃんのお家にお願いしてしまったの」

 あー、まぁな? みのりはしょっちゅう来てるほぼ家族みたいな奴でも、男だらけの家に夜一人おいとくのはあんま良くねぇのかも?

「いえ、私も土曜日ちょっと寂しいなって思ってたので助かります」

 何でも、藤堂の弟がやってる習い事の送り迎えで、最近は土曜夜に一人飯ってなってたのをみのりがうちの親に話したらしい、んで、母さんと藤堂の親でなんだかんだと決めたそうで。

「って、なら、何でもっと早くいわねーんだよ! 驚くじゃねーか」

「私が当日まで内緒ってしたの、だって、サヤ居るって知ったときのナオ君の顔ってば!」

 みのりがすげー楽しげに笑う横で藤堂はちょっと困った顔してごめんね? なんて言ってるけど、実際の所久しぶりにこんな風に藤堂がいるのに、目が離せないで居た。


 中3の時は結局ずっと藤堂が隣で、それがアタリマエになってたから、高校に入ってからあの頃がどんな贅沢な時間だったか思い知らされた。

 勉強を教え合うにも、馬鹿話をするにも、時々ちょっとマジな相談なんてのをした時も……その相手はいつもこいつだった。

 だから、高校でクラスが離れて、当然隣の席もあいつじゃなくて、その上坂本なんかが妙な動き見せてるって聞かされて、結構限界来てたんだって判った。


 部活で一緒になった鳴木も一条もあの頃ほど身近に藤堂のいない物足りなさは感じてるはずなのに、呆れるぐれーいつも冷静で、だけど時々グサっと来るほど思い知らされる、どんなにこいつを大事にしてるかって。

 比べたら俺は、想いでは負けてねぇ自負はあるが、配慮みてーのはまるで届かなくて。

「くん……ナオくんってば!」

 耳元でみのりに声をかけられてハッとした、目の前では藤堂まで心配げな顔をしてて

「わりー、今日もキツくて、ぼーっとしてたわ」

「やっぱ、サッカー部って大変?」

「まぁ、そもそも、部活とかやってなかったから他と比べよーがねぇけど、元気一杯のやつら見てると一気に歳食ったみてーなキモチになるな」

 俺の軽口に藤堂は弾ける様に笑い、あぁ、マジ足りて無かったって自覚もするが、いっそここを連れ出してーって、気分にもなる。

 ……いやさ、片想いの女と家族の前でって一体どんな顔すればいーんだか。


「私ちょっとコンビニにお買い物とか行って来ようかなって」

 食事の後おばさまが電話の呼び出しで慌ただしく出掛けてしまい、家から持って来たと言うクッキーを用意してくれると言うサヤに甘えて隣に座るナオくんにこそっと耳打ちしたら

「いや、足りねーもんあるなら俺が行くから、ここいてくれねぇか?」

 そんな言葉が返ってくるから、ちょっと驚いて

「いいの? お邪魔じゃない?」

「……ちょっと自信ねぇ、今2人きりとかなったら、妙なこと口走りそうで」

 いつも割と余裕って感じのナオくんの素直な弱音に更に驚いた。


 同じ高校に通う事にはなったけれど、流石に同じクラスにはなれず。

 隣の隣のクラスらしくてちょいちょい顔は合わせてるみたいだけど、中3の時程一緒にって言うのは、無理だとナオくんだって分かってたはず。

 だけどやっぱり寂しげで、部活が大変なのは確かみたいだけどそれにしてもため息が増えたなぁ……って思ってた頃、土曜日のスーパーで1人買い物をするサヤに会ったんだ。

 

 ずっと私の初恋に付き合ってくれた、ちょっと捻くれてるけど優しい幼馴染。

 物心ついた時から大好きだったけど、年が随分はなれてたから、当然それまでの間には和巳さんに近づく女の人が! なんてこともあった。

 その度大騒ぎする私をうんざりしつつ宥めてくれて、その後も一度だけ和巳さんに彼女が出来た時のことは私だけでなく、ナオ君にとっても思い出したくない出来事だったと思う。

 だけど荒れに荒れた私を自分を安売りするなって本気で怒ってくれた、だから、ナオくんの恋も精一杯応援したいって思ってて。


「はい、クッキー、ちょっとだけトースターであっためて来た、お茶の準備ありがとね」

「いえいえ、サヤはお煎餅どうぞ、おばさまから出してあげてねって言われてるの」

「わぁ、何か申し訳ないね、これから毎週になっちゃうしあまりお気遣いなくって伝えといてね、お母さんに怒られちゃうよ」

「うふふ、大丈夫すごく楽しそうに1番最初に準備してたし」

「えー、……って! おせんべの下にカリカリ梅まで!」

「よし、おばさまのイタズラは成功と伝えよう……ナオくんの話聞いてからずっとお煎餅と梅を揃えて出したかったんだって!」

「イタズラ……なの? これ?」

 なんて、サヤとふざけてても、ナオくんはなんか静かで、だけどそこに居るっていうのを噛み締めるようにサヤを見つめて声を聞いてるのが分かる。

 何だか私まで切なくなってしまうような純粋な好きって気持ち、会いたくて声が聞きたくてもっともっとって……。

 本当はね、応援って思ってても、ナオくんはそんなに苦労はしないじゃないかと思ってた。

 彼は今まですごくモテて来たし、それなりに遊んでも来た訳で、いつもそーゆーの余裕たっぷりだったから……でも、そのナオくんでもサヤ相手では侭ならないみたい。

 なんせ目の前のソファーに座ってただ黙って見つめてるようならしくないナオくんを全くものともしなくて、カリカリ梅に歓声を挙げてるんだから……。


「なあ、みのり、ごめんな」

「なぁに? ありがとうならわかるけど」

 サヤがお茶のおかわり入れてくれるって台所に向かったら隣のナオくんが小さな声で私に謝った……はっきり言って意味がわからずその目を見つめ返すと。

「昔さ、お前が一方的に兄貴に惚れてた頃、俺良くもう男なんざいくらでも居るんだから、別行け、とか言ってただろ?」

 ああ、そんなこともあったなと思う、本当に私はナオくんの前では良く泣いたし愚痴ったし、その度に相手をしてくれてたことは感謝でしかないんだけど?

 だから、本当に不思議で、それで? って聞いたら。

「マジで好き、とかだとさ、他なんて目が行かねぇ、ムリな事言ってたなって、思ったからさ」

 サヤのいる台所に視線を向けながらそんな事を言っちゃうんだから……この見慣れた顔の男の子は本当に幼馴染のナオくんなのかな? って、ちょっと、思ってしまった。



文を整えてるうちに、思いもよらない姿が浮き出てくることはありますが、今回は中々顕著だったと思います。

現状いつもの2人分エピソードが固まってはいるのでそれをひとつにまとめるかは考慮中ですが、近日中にお届けできるかなと思います。

あと少しお付き合い頂けましたらありがたいです。

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