例えばこんな高校生活(パラレル)3
少し間が空いてしまいました、ベースの文はすぐ出来たのですが、その後の整えの時間が取れず…。
ともあれ、久しぶりの3人を出すことが出来ました、楽しんでいただけましたら幸いです。
「一条、お前が藤堂のチャリの後ろに乗った話、坂本にしたら駄目か?」
部活終わりの帰り道、隣の黒田のぼそりとつぶやく声に足を止めた
「駄目……というか、そもそも何故だ?」
少し前に、藤堂をからかう黒田があの時のことを持ち出すのに、結構強めに一条が釘を刺した事はあったが、どうも今回はからかいたいとかそういう事でもなさそうだ。
「坂本ってことは藤堂がらみだろ? 俺も聞きたい、とりあえずそこの公園でいいか?」
通学路の歩道沿いにある公園の東屋に向かうことにした。
「坂本に藤堂がお嬢にでも見えてるのか? って言ったんだが……」
今日美化委員の備品室であった出来事を黒田から聞いて、ちょっと前クラスにあいつが来たときの思い出す。
「……坂本からの扱いをザワザワするとかいって腕をさすってたけどな?」
「はっ! 女扱いは気色悪いってか、ざまぁねぇな」
黒田はホッとしたように、そんな風にうそぶくが
「つまりお前は、坂本に藤堂は一条を後ろに乗せれるくらいの力はあるから……って、言いたいって事か?」
「ああ、実際そんなか弱い奴じゃねーだろ?」
「それはそうだが……やめといた方がいい」
一条は眉間にしわを寄せる
「ちゃんと口止めはするぜ? そりゃ広まればお前の評判も落ちるかもしれねーけど、坂本に釘刺しときゃ……」
「そういう事じゃない、俺の評判なんてどうでもいい」
「じゃ、何でだ?」
「そもそもお前、なんであの時俺が釘を刺したと思うんだ?」
元々研ぎ澄まされた美貌の一条に、真正面から射貫くように見つめられて、黒田が思わず息をのむのが俺からも見て取れた。
「何でって? やっぱあんま外聞良くねーだろ? 女にって」
「評判とかはどうだっていいっていったろ、内申ならともかく、そんなもん落ちてくれればさっぱりするくらいだ」
高校に入っても一条の人気は相変わらずで、本人非公認ではあるがファンクラブとか言うものまで出来はじめているとか何とか、藤堂はもう一条に近づく事を気にしては居ないが、一条の方は自分のせいであいつに何かあれば冷静では居られないだろう、つまり
「あのな、黒田、そんな噂がもし広がれば、一条に憧れる奴は藤堂にマイナスイメージを持つし、例えばお前が、一条が2人乗りで女の後ろに乗ったような事を縁もゆかりもない有名人がやったって聞いたら、相手は誰か? とか興味を持たないか?」
俺の言葉に黒田はさっと顔色を変えた。
「メインで噂の標的になるのは藤堂って事か……わりぃ、俺、考え、足りてねぇ」
「俺は知ってるだけだ、俺がらみの噂がどんな風になるか……言っとくべきだったな、悪い」
一条に向かって、頭を下げる黒田に一条は軽く首を振って
「それに、あいつが他の女と明らかに違うなんて事、わざわざ教えてやる筋合いはないと思わないか?」
重ねた台詞は全く同意、だが、坂本に女扱いされてフルフルと首を振る藤堂を見て居る俺はしみじみと思う。
「だけどそっちは、遅かれ早かれだと思うぞ?」
藤堂の近くに居る限り、そんなもんいずれ気がつくんじゃないかと思う、それに大人しく女扱いに甘んじる様なやつでも無い、そう、俺がいえば
「めんどくせぇ……」
「同感だ……」
ふたりしてその肩ががっくり下がった。
「おはよう〜、早いねぇ! 朝練?」
背後からの声に振り向けば、藤堂がいて、声から間違いないのはわかってはいたが、こんな時間にと驚く
「お前こそ、どうしたんだ? 早すぎないか?」
「昨日宿題のプリント机に忘れて来ちゃったんだよね、今日提出だから朝やろうかなって」
「成る程、プリント……多いよな」
この学校はさすが進学校と言われるだけあって宿題の量も半端じゃない
「俺も昨日ちょっと手こずって、寝不足気味だな」
今のところ授業について行けない科目はないが、苦手科目は相変わらずだ
「判る! 私も時々寝る時間削られるんだよね、でも、忘れたおかげで昨日はたくさん寝れたよ」
すっきりとした顔で、良いのか悪いのか分からないことを言って来るから思わず吹き出すと
「それに、久しぶりに一条に会えたから、早起きは三文の徳だね!」
てらいなくそんなことを言われたら、どんな顔をすれば良いかわからなくなる。
だけど、確かに、ちょっと前までは塾だ勉強会だって週に何度も顔を合わせてたのが、入学以来クラスが離れてるのもあって中々会う機会もなくて、だから、こんな時間にお前に会えたのは俺も嬉しくて
「忘れたせいで寝られたって事は数学か? プリント」
「あは、あたり、って事は一条は国語?」
一緒に受験勉強をしただけあって、お互いの苦手は知り尽くしてる、そう言えばうちのクラスも昨日は数学のプリントもあったのを思い出す。
「お前、時間あるか?」
「え? 大丈夫だけど、一条こそ朝練は?」
きょとんと小首をかしげる幼なげな仕草は相変わらずで、確かにそんなに時間があるわけではないが、離れがたくなる
「ああ、だから急ぐぞ!」
昇降口の先の自販機の並ぶスペースにベンチがあったと、足を早めた。
「そうそう! この3問目、これ見てうぇーって思って机に入れたら、忘れちゃったんだけど……流石だなぁ、綺麗に解けてる」
ベンチについてプリントを出せばやっぱり同じもので、昨日解きながら藤堂が嫌がりそうな問題だと思ったのは間違いではなかった様だ。
相変わらずこいつは引っかけに綺麗にハマってループしてるだけなのでそこを解けばするりと理解して目を輝かせてる
「ありがとう! 助かったよ、やっぱり人に聞けると良いねぇ」
「確かにな、昨日の国語はちょっとお前がいたらなって思った」
素直に心情を吐露すれば、ハッとした様に藤堂は俺を見て……
「時々、ちょっとだけで良いから、またやらない? 教え合いっこ!」
本当は国語がどうとか関係なく、会いたかった。
高校はクラスも人数も多くて、偶然会えるなんてことは難しい、稀にそんな事があれば嬉しげに話しかけては来るが、正直全然足りなくて……。
「良いな、寝不足にならずにすむ」
浮き足立つ心を隠して、敢えてさらりと答えれば、パッと笑顔を輝かせるから……。
思えば初めてかもしれない、心底朝練に行きたくないなんて思ったのは。
読んで頂きまして、ありがとうございました。
このパラレルに関しては後、1話か2話を予定して居ます。
またりとお付き合いいただけましたら幸いです。
よろしくお願いします。




