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例えばこんな高校生活(パラレル)

パラレル、パラレルです。

大事な事なので2度言いました。

また、本編完全終了後のお話のため未読の方はご注意ください

視点がくるくる変わります、読みにくかったらごめんなさい。


この所ずっと私の中で以前チョークを割り、試験の時に消しゴムを落とした彼が、出せー出せーと……なのですみません需要があるかもわからず、事もあろうに高校になってからのパラレルをよりによってなぜか彼で……。


今回は彼のためのお話の中の設定なので、万が一高校編があるとして、このお話はなかったものとなる可能性が高いです。


お付き合い頂けましたら嬉しいです。

「じゃあ、次、美化委員希望の人……お、2人か? なら決定、坂本くんと、藤堂さんだよね? 書紀、書き込みしといて」


 桜花に入学して2週間目のホームルーム、俺は何故か藤堂と同じクラスになったばかりで無く、同じ委員にまでなってしまった……。


 同じクラスになった時、嬉しいと全く思わなかったと言えば嘘になるが『厄介なことになった』と、それが一番正直な感想だった。

 俺のあいつへの気持ちが本当のところどんな種類のものだったか、卒業も近いあの頃、頭ぶん殴られる勢いで自覚させられて、だけど、どんだけ考えても押し殺すしかないものだって、わかってるのに……なのに、こんな風に近くにあいつがいる様になるなんて。


 委員会の初日に配られた、仕事の一覧表は、その横に名前を書く欄があり各クラス2名いる委員が手分けしてやるようになっていた

 分担を決める中で「チョークの補充」なんて項目があるのに思わず手を止めると

「チョーク……」

向かいからもため息のような声が聞こえて、顔を上げれば藤堂も気まずげな顔をするから、まだ忘れてなんていないって分かる。

 本当に俺はどれだけこいつに借りがあるんだか。

 もういっそ、仕事全部俺の役目にすれば良くないか? って思ったけど、それを口に出したって素直にうんって答えるような奴じゃない、流石にそんな事は聞いてみるまでも無く分かってる。



「やっぱり、おかしい……」

水曜日、ハンドソープを持ち上げて、何で? って思う、毎日みんな使ってるのにちっとも減ってない。

 先週の金曜日ゴミ箱にかけるビニール袋の確認した時もきっちり最大枚数の7枚になってて、そりゃ毎日変えるものでもないけど、1週間全く変えない、なんて事はありえない。

 困ったな? 私、委員になってからろくに仕事をしていない。


「この世界にも小人さんっているのな?」

「居たんじゃない? でっかそーではあるけど」

学校は別れても週末は時々優樹の家に行くのは続いてて、そこでこのところ変なんだって話をしたら、そんな答えが返ってきた。

「靴屋じゃないんだけど? 私」

「まぁ、坂本も小人じゃないし?」

 しらっと、(うそぶ)く優樹に思わず吹き出して……そうだよねーって思う、だって、美化委員の仕事を事細かに知ってる人なんて同じ委員しかいない、ましてやクラス内での仕事だから、他のクラスの人が入ってきたら流石に目立つし、……だけど坂本に聞いても、いつも知らねーって、そっぽ向いちゃうんだ。

 ただ、この前は、知らねーって言葉の後に

「ほっといても大丈夫って事なんじゃね? 1年くらいゆっくりすれば?」

 なんて、ほぼ自白では? と、思うのだけど坂本はそれ以上何の反応もしないし、かと言って私だって自分の仕事を先回りされるのはスッキリしない……で、決めた。



「何でだ? ペーパータオルは満タン、ゴミ箱もねーし……アイツ、俺の仕事なのに」

 ご時世、とでも言うのか、妙なトラブルが多いこの所、ゴミ捨ては美化委員がすることになっていて、おかしなもんが捨ててあれば担任に報告するんだとか、で、あの時分担では、俺の仕事になったはずだった。

「おや、まだ部活に行ってなかったん?」

 なのに、ガラリとクラスのドアを開けて帰ってきたら藤堂はしらっとそんなことを言ってゴミ箱を所定の位置に置き、掃除用具入れからビニールを取り出しかけているのに

「それ、俺の仕事だろ? 何でお前が……」

 近寄りながら声をかければ

「それ、私のセリフ」

 久々に真っ直ぐ俺をみる強い瞳に思わず息を呑んだ。


 何ていうか、なし崩し的にそうなるならよくね? って思ったんだ。

 今更諸々謝るったって、前に謝罪はした事はあって、あん時だって無理やり受け取らせた様なもんだった。

 あんなんじゃ不足だって分かってるけど、これ以上言葉だけ重ねたって、それって結局許せって、気持ちの押し付けになる。

 なら、仕事先回りしてこなせば、これから1年位はのんびり過ごせるんじゃないか? って。

 女って、結構甘えてくるところがあって、荷物持ってやったり送ってやったり何だり、ちょっとした手助けは結構やってた。

 体付きも体力もやっぱ男とは全然違うから、俺にはちょっとした事でも相手にとっちゃ、そーでもねーみたいだし?

 そりゃ、だんだん当たり前になって来たりすれば、モヤッとした事あるが、今回は逆にそんな、なあなあさが使えるんじゃ無いかって、思ったのに。



 優樹と話した後、坂本でしょ? って結論ついたとこで香織にも電話してみた。

 そしたら香織からは坂本は結構彼女に甘いって聞いたかも、なんて返ってきた。

 何でもあの騒動の後、栗原さんの噂はよく香織の耳に入っていたらしく、別れる前は相当惚気話を聞いていた子も多かったとか。

 勿論私はそんなんじゃ無いけど、それでもこんな事をしてくるって事は罪滅ぼしのつもりなのかもと納得が行った、でも、私がそれを受ける道理はない。


「謝罪は済んでる、変な甘やかしはいらないよ」

「やってる奴がいるなら甘えれば良くないか? 男が荷物持ちするのは良くあるし、体力だって違うだろ?」

 坂本にとって女の子ってそーゆーもん、だったんだろーなってのは思う、例の元カノも中身はともかく外見は華奢でたおやかだったし、……でもね?

「私はあんたの彼女じゃ無い」

 お互いにとって至極当たり前のことを、再確認するようにきっぱりと告げれば、坂本はぐっと唇を噛み、私から目を背けて

「勝手なことをして悪かった」

 って、漸く認めてくれた。



 最初からそんな扱いしたつもりはなかった筈が、彼女じゃないって言われたら、ぐうの音も出なかった。

 してたのかもしれない、担当の仕事を代わりにして、甘やかすって事で……。

 ちょっと、楽しかったんだ、あいつが仕事をしようとしたら、もう終わってるのを見て、不思議そうに首を傾げたり、問いかける様な目でこっち見てたりするから

 だけど、そうだよな、黙って甘やかされてくれるような奴じゃなかった。

 今までのやり取りを思い返せば、こいつが普通の顔で俺の前にいる事さえ有り得ない、だけど、なら、どうしたら? 急にあいつの視線にさらされることさえキツくなった気がした……なのに

「友達にさ、なってくれない? 美化委員の間だけで良いからさ」

 そんな言葉を掛けてくるのに、耳を疑った。

「もう、良いから、チャラにしよう? そんな負い目とか持たれたままだと仕事しにくいし、別に私を好きになってとかは思わないから、安心して? ただ、こんなふうに仕事を取り合うのはおかしいから、普通に仕事分担出来る位に、クラスメイトその5とかで良いから」

 こんな穏やかに、宥めるように緩く笑って、俺だけを見てそんな事を言って来るから、どうして良いかわからなくなる。

「いい……のか?」

 ずっと、本当に長い事俺はこいつの嫌がる事ばっかしてた、嫌味を言い、馬鹿にして、変な手紙が来た時も周りに晒して……挙句にクラスにチョークの補充に来た時なんて、叩き割った俺は大嫌いだ、とか怒鳴って、本当ガキかよっ……て。

 けれど初めて、真っ直ぐ俺を見ててらいなく笑って、手を差し伸べたりする、から、俺は……。



 ついやっちゃう仲直りの握手、だけど坂本は俯いては居たけれどちゃんと握ってくれて、前髪に隠れてその表情は見えなかったけれど、こくりと頷いてくれたから

 あぁ、やっとこれからはまともに委員の仕事ができるとホッとしたのだった。

ここまで読んでいただきまして、誠にありがとうございます。


ええ、紗綾にとっては、これで委員の仕事がちゃんと出来るねって感覚です。

そりゃ、皆、苦労するよなぁ……と作者としては微笑ましい(?)のですが。



坂本君をもう少し近付ける話を書くとしたら、やはりその先に行くしか無かったので図らずも、ちょっとだけパラレル高校生編となりました。

多分みなさまにとっては誰? となる可能性が高いので、念のため関連した本編を下に参照しておきたいと思います。

本編

29

105〜108

110〜112

となります。


ここまでお付き合いありがとうございました。


また、まだ制作途中ではありますが、この先のお話があとちょっとだけ続くかもしれません、パラレルとしてのんびりお付き合いいただけましたら嬉しいです。


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― 新着の感想 ―
[一言] 異性関係に疎い紗綾ちゃんに、周りは期待したり落ち込んだりと振り回されている感じですよね。 皆がちょっと可哀想になってきます(笑)
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