[13th night]
若干R15描写が入ります。
それからというもの、わたし達は新婚らしく毎夜睦み合った。
――けれど――――
共に時を過ごすごとに、なぜか彼は着実に、わたしの中で不思議な人間になっていった。
まだ日が在る頃はとても冷たい。
わたしをその目に映すのも嫌だと言うようにこちらを見ない。掛けられる言葉は最低限しかなく、むしろ顔を合わせることすらほとんどない。
日中のわたしの傍には侍女か、もしくは主人のわたしに対する態度に不満を持つメイド達がはべっている。そこは女の子同士の、華やかでふわふわとした雰囲気で満たされていて、自然笑顔を浮かべられる場所だった。
けれど日が落ち、ディナーを済ましてプライベートルームに下がると、彼の態度は一変する。分かりやすく変わるわけではないけれど、孕む空気がはっきりと変わる。
日の在るうちは冷たいアメジストが熱をたたえ、素っ気ない言葉しか紡がない唇はわたしの唇を、身体中を翻弄して時に彼の跡を刻み、そして熱に浮かされきったあと、わたし達の体温はひとつに溶け合うのだ。
快感は快感を呼ぶ。
もっとと望む、意味をなさないわたしの声はひどく淫らだ。彼はいつも、眉を潜め何かに耐えるようにそれを聞いていた。
背中に赤い跡が付くほど強くしがみつけば、彼は身を寄せて更にしがみつくことを許してくれる。
絶頂に上り詰めるその時にも、終えた後気だるげにわたしを抱き締めるその動作にも、わたしは彼の優しさしか感じなかった。
愛はいらないと言うならいっそ、哀れみなどいらなかったのに。優しくしなければよかったのに。
彼は間違えた。
そんな風に中途半端に優しくしなければ、わたしはあなたを愛することなどなかったのに。