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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。

【歴戦20年】水兵服美魔女勇者は何を想う?

作者: 和えもん
掲載日:2026/05/12

これはセーr......


初代『水兵服美魔女勇者』が最前線で20年戦い続けた設定の架空追憶である


この物語はフィクションであり、


実在の人物や団体や女性漫画家とは一切無関係なので注意されたし。


もし削除された場合は、たぶんお察しの通りの事情である。


――――――



いったい、なぜ?


なぜ少女の身でありながら、


悪に対する抑止力の役目を、一身に担うことになったのか。


そこに不平を言う気もない。


自分の選択に後悔もない。


しかし、何度でも考える。


いつまで経っても、正解が分からない。


なぜ、少女が水兵服美魔女勇者として覚醒するシステムが生まれたのだろうか―――



今日は一つの作戦が完了し、束の間の日常を取り戻した日。


また2か月程度は訓練と休息の期間を設けられるだろう。


課題の見直しや、想定外事象の洗い直しを行う傍らで、


自分の思考はいつものように、始まりの日からの追想を始める―――



【始まりのとき】


事の起こりは自分が中学生のときだ。


突然に自分の身へと『水兵服美魔女勇者』としての力が宿った。


時を同じくして、魔法を行使してテロ行為を行う集団の暗躍が始まり、


事情も分からぬままに

『止められるのはあなただけよ!』

の声に従って現場へ赴いた。


後に判明したことだが、

当時は新たな邪神が誕生した直後だった。


銀河?月の王国?宇宙?未来?前世?

何の話か分からない。それは自分には関係ない。

自分達が戦い続けている相手は、ずっと邪神の眷属である。


「な、なんで私が...?」

「学校あるのに困るよ」

「友達との約束が」

「普通のオシャレがしたい!遊びに行きたい!」

「燕尾服マスク様!」


当時の自分は、そんなことばかりを言っていたと記憶している。

燕尾服マスクは、もう致命的なほどに理想的な異性像だった。

厨二病とはよく言ったものである。


そう、まさに燕尾服マスクは配役であった。

普通の女子中学生を、宿命を背負う存在へ導くために、

効果的かつ必要な、役だった。


自分に力を与えたのは、聖神。

燕尾服マスクを配役したのも、聖神。


弄ばれた、という悩みは通り過ぎた。

恋に恋する心は、十二分に満たされたのだから。


問題は、この戦いは神々の代理戦争だということだ。

眷属は『お仕置き』できても、邪神そのものには届かない。


だから、この戦いは終わることがない。

そして、備え続けなければならないのだ。


【始まりから3年】

この頃に、いくつかの現象が生じた。

主な転換点は以下の4つである。


・国家に認識され法制との軋轢が生じた

・邪神側の運用する眷属人数が増えた

・対抗して第二世代美魔女勇者が登場

・美魔女勇者の側からも戦死者が発生し始めた


順を追って追憶を進めていく。


まず最初は人知れず邪神眷属の暗躍を防ぎつつ

普通の中学生生活と水兵服美魔女勇者生活を両立して過ごしていた。


しかし邪神眷属は次第に、初動で鎮圧されても多くの目撃者が生じる場所を

騒動の場として選ぶようになり、社会から認識されることとなる。


法的には邪神の眷属も人であり、傷害罪や私的懲罰を禁じる法に抵触していた。

しかし法整備を待っていては敵の暗躍を防ぐ手立てがない。


水兵服美魔女勇者の行いは法の適用外とする制度が速やかに成立し、

法の支配が揺らぐため例外は許すべきではない、と政争が起こった。


当時は何のことを話しているか、まるで理解できなかった。

そもそも理解する必要すらなかったのだ。


証人喚問中であっても、事態が生じれば魔法で現場へ急行できる。

裁く対象より高い武力装置を保持しないと、法は効力を発揮しないのだ。



世間を騒がせたのは政治的議論の場に留まらなかった。

自分の存在は熱狂的な支持者からも、

問題点を不安視する者からも注目を集め、

とても一般的な高校生活など、望める状況ではなくなった。



さらに同時期、邪神が眷属に魔法を与える技術に進化がみられた。

同時展開する人員が増加し、作戦が多面的になっていったのだ。


このまま自分一人ではどうしようもない、という局面に到り、

聖神も対抗して水兵服美魔女勇者の第二世代を生み出し始めた。


戦力人員も増強され、直面していた危機を乗り越えられたと思った矢先に

―――第2世代から、最初の殉死者が発生した。



その殉死者は、弱かったわけではない。強かった。

才能と自信に満ちて、努力に励み、人望も高かった。

魔法の行使能力は、自分を上回るほどに急成長しており、


『最強の美魔女はどっち!?』

などと注目を集める、ライバル関係であった。

原因を端的に言えば、油断と慢心により功を焦ったのだ。

その後も戦場では、危険を顧みない傾向がある者から命を落とした。


最初の殉死者が、最強候補と目されていた存在だったことの衝撃は大きく、

美魔女戦士たちは自分も含めて、突きつけられた死の恐怖により恐慌に陥った。

10代の少女が戦闘行為によって命を落としたのである。


「次は私の番かもしれない…」

その想像により戦力外となった者は3割にも及び、戦局は深刻な危機に陥る。

なんだか格好いい、と浮かれていた水兵勇者の間では

『夢見る少女じゃいられない』という歌詞が流行した。


残った7割も無理矢理に己を鼓舞して奮い立った者たちであり、

危険度を感じる役割に対しては、及び腰となってしまう。

「最後には『あの勇者』が何とかしてくれる」という期待が自分に集中することとなる。



『抑止力の、最後の砦』

この期待という重圧は並大抵のものではない。

事実として、精神に変容をきたした仲間たちの中でも、

自分は特に、存在ごと作り変えられるような変革をすることとなった。


まずは、勝つチャンスを探るより先に、絶対に負けない戦い方を優先し始める。

さらに、自分が犠牲になるより、他者が犠牲になる方が遥かにマシという事実に直面し、

自己犠牲の精神すらも超越することが不可欠と気付いてゆく。


この超人的な倫理観は、当時に大きな拒絶感を持って社会に激震を与えたが

聖神の神託を受けた複数の預言者が、迫害を受けつつも活動して次第に拡大していく。



【始まりから10年】

燕尾服マスクとは生涯を寄り添う誓いを果たした。

だが前線から離れる妊娠出産を行う選択は自分には出来ない。

その期間中に事態が急変した場合を考慮すれば、当然のことである。


結果としては、支援信奉者による代理母出産が行われることとなり、

自分と燕尾服マスクの遺伝子を持った子供たちは多く存在している。

その子供たちに対しては、早期幼児教育による後継者育成計画が実施された。


自分の見た限り、血筋による才能や能力などは、大した差がない。

強い自覚を持たせる効果を、血脈に持たせることにこそ真の意味がある。


人間は真の覚悟を決め抜いた瞬間から、

「やらなくてよい理由」を探す思考を1秒たりとも行わずに、

最初から「何を為すべきか」の思考回路を働かせるようになる。


負けない、投げ出さない、逃げ出さない、信じ抜く

それが一番大事なのである。




【現在】

30代の半ばとなり、身体的な衰えに直面している。

近いうちに最前線に立ち続ける限界が来るだろう。

引き際を間違えては時代の育成に大きな支障をきたしてしまう。


大きな希望は、早期幼児教育を受けて育った世代である。

この教育は自分が受けた知識偏重の詰め込み教育とは異なり、

愛と勇気、協調性と知恵、そして内省を主軸とした

『後悔しない生き方』を身に付け、活き活きと生きる力を育む主旨である。


訓練期に教育機関へ赴いて訓戒を行う時間は最重要視しており、

自分が繰り返し伝えていることは以下である


『自分の命を何に使うか、を定めること』

『それが最も自分の命を活かす道となる』

『自らの人生を自らの意思で歩みなさい』


抑止力を背負い、国家の象徴を背負う。

『その血の定め』を呪いと捉えるか、祝福と捉えるか。

結局は本人次第なのである。


例え自分の腹を痛めなくとも我が子たちは至宝であり、

その友人達と共に、未来を切り開いてくれると信じている。



【引退から10年】

自分の人生には何一つとして後悔はない。

それは前提であるのだが―――

実を言うと、聖神への信頼に揺らぎが生じている。


なんだかんだで処理しきれる程度に、邪神の攻撃は手を緩めているのではないだろうか......?

30年もの間、常に邪神側が魔法技術では先行しているにも関わらず


完全な不意打ちで自分を除外しようとする作戦は成功させず

戦線が崩壊するような先制攻撃を受けることもない。

奇妙なほどに御都合主義の気配を感じるのである。


『聖神もまた、社会常識を書き換える点では邪神と同じだ』


そのように訴え始める者は、優先的に邪神により排除されているようにも感じる。

偶然と片付けるには不可解なほどに、この傾向が観られるのだ――



そう


なぜ少女に抑止力が与えられることになったのか


その正解は、今でもさっぱり何も分からないのである




【死後】


「お疲れ様。頑張ったわね。待っていたわ」

「...貴様は何者だ。この空間は何だ。」


「私は天照ちゃん。ここは高天原よ」

「いったい何が起こっている」


「まずは二人をあなたに紹介しましょう」

「いやとにかく説明を......」



「こんにちは。私は武う...武子よ」

「だから説明を...」


「戦う魔法少女という概念を生んだのは、私」

「なっ!?」


「終生の疑問に答えられるのも、私」

「なぜ!なぜだったのですか!?」


「戦う魔法少女が見たかったから」

「見た、かった............?」


あともう一人ね


「戦う魔法少女の概念に乗って、君の世界を描いたのは俺」

「ま、まさか邪神の正体は」


「It's-a me」

「せ、聖神は」


「It's-a me!」

「......な、なぜこのようなことを


「それは......



 面白いかなと思って☆」



なるほど、自分が正解に辿り着くのは不可能だった。

あまりにも無邪気な振る舞いに失笑を禁じ得ない。



「もっと一緒に遊ぼうぜ!」



というわけで、この作品を楽しめた紳士淑女は

天照ちゃんの高天原チャンネル!にも

ぜひ遊びに来てね。

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