7/12
RE:04 連れ添ってくれる君へ
定年後、初めて夫婦2人だけでの旅行に来ている
普段行く場所よりも少し遠い温泉地まで足を延ばしてみた
妻は疲れてしまったのか窓際のソファに深く腰掛け暖かな日差しに当たりながらウトウトとしているようだ
晩御飯までは少し時間があるので一風呂いただこうと着替えを取り出すためにカバンを開けた
着替えの上に私の好きな淡い藤色の綺麗な封筒を見つけた
定年退職したあの日にもらった手紙がとても嬉しかったので私もあなた宛の手紙を書きたいと思います
結婚してから30年と思うと長いようで、でもあっという間の時間でした
幸せな時間だったからそう思うのでしょう
ですが1つだけ不満がありますのでここで伝えます
もっと一緒にいてください
これから同じ時間をたくさん過ごしてください
残りの人生を今まで以上に隣で歩んでいきたいです
これからもよろしくお願いします
ずっと愛しています
手紙を読む後ろで妻が目覚めたようだ
気恥ずかしい思いがして手紙を手早くカバンに仕舞った
コップに注いだ水を差し出しながら妻に言った
「ちょっとそこまで一緒に散歩しようか」
妻は微笑んでくれていた