04 連れ添ってくれる君へ
夫が長年勤めた会社を今日定年退職する
出勤の準備をいつも通りして、普段と変わらず出掛けるのを見送った
1つ違ったのはリビングのテーブルに置かれた手紙
私の名前が夫の優しい文字で書かれた封筒
何かと思い封を開けた
君と結婚してから30年という節目の年に定年退職する今日
言葉にするのは苦手なので手紙にして気持ちを伝えたいと思う
仕事から帰って君の顔を見るたび疲れが癒されていたよ
君が家の事をして毎日笑顔で出迎えてくれたから30年も働いていられたんだ
ありがとう
子供を授かってから2人で慣れない育児に奮闘したのも今では良い思い出だと思う
あの子も今では立派に成長して結婚したし孫の顔が見られそうで楽しみだね
なんて少し気が早いだろうか
これからは一緒の時間も多くある
普段行っている旅行ももう一歩遠くまで行けるようになるね
君と過ごす時間を思うだけで楽しみが増えるよ
今まで連れ添ってくれてありがとう
これからも手を取り合って生きていきたい
よろしく頼みます
愛しているよ
夜は予約していた2人のお気に入りのレストランでささやかなお祝いをした
2人のあいだには旅行のガイドブックが置かれ、今度行く旅行を肩寄せ合い計画していた