12 赤いバイクのお兄ちゃんへ
定期的に同じ封筒の手紙を届けているお宅がある
毎月の同じ日に手紙が送られているようだ
そのお宅に私のバイクが近づくと家の中から女の子が音を聞いて飛び出してくる
いつものように手紙を渡すと女の子は淡いピンクの封筒を差し出してきた
「いつももらってばかりだから私からのお手紙」
満面の笑みの女の子から手紙を受け取った
いつもお手紙とどけてくれてありがとう
お母さんに聞いたらお父さんはお仕事で”たんしんふにん”っていうやつなんだって
だから毎月お父さんがお手紙を送ってきてくれるの
お手紙がとどくとお母さんがすっごく笑顔になるんだ
だから私もお手紙がとどくとうれしいの
お兄ちゃんにも笑顔がとどくようにお手紙書きたいんだ
好きな事とかお兄ちゃんのこと教えてほしいな
お返事もらえるかちょっとドキドキしてる
お手紙とどけてくれるの待ってるね
もらった手紙を読んで胸の辺りが暖かくなった気がした
自分で手紙を書いた事はなかったが、お礼の手紙を
書いてポストに投函した
父親から送られてきた封筒と自分の封筒を持ってあの家に向かった




