第九話
並行している作品のほうが見てくれる人が多そうなのでエタる予定です。
続きを読みたいという方がいらして感想欄にそういった内容が届くか、もしくは僕宛にそういったメッセージが届きましたら考え直します。
『それはできない』
そう言いながらネコはフェンスの上に飛び乗り、僕を上から見下した。その位置からだったらよく見えただろう、僕のあほずらが。
「で、出来ないって、、、つまりお前は与えることは出来ても奪うことは出来ないなんていう、見方によってはクサいやつだって言いたいのか?」
『私は臭くないが、前半はあっていると言える。お前の言う通り、私はものを剥奪する能力は持っていない。それを持つのは黒い奴のほうだ』
「…………黒い奴についてはよく分からないが、つまるところ今すぐにはこの眼はどうにもならないということか?」
『まあ、目玉を穿り出せば解決するだろうがな』
「目無くなっちゃってますが! お前はもとより僕の目は節穴だって言いたいのかな⁈」
………偶然後ろを通りかかった白髪のおじさんにぎょっとした目で見られる。違うんです、お爺さん。誤解なんです。このネコしゃべるんです! ほんとに!
しばらくの沈黙の後、ネコは言った。
『そうでなかったら黒い奴を見つけることだ。私は別件で奴を追いかけているが…………そうだな、お前、私と一緒にこい』
フェンスからジャンプし僕の肩に飛び乗る。僕はさながら鼠を肩に乗っけながら世界を旅する少年みたいだった。顔の真横に来たそいつは続けた。
『おそらく奴は人の家を拠点として活動している。元々は家猫だからな、人が恋しい恋しいといつも言っていた。ほら、すまほというやつを出してみろ』
何だかいいように使われているようで、少々荒くれた感情を顔に出しながら、スマホを取り出す。こいつ、また僕の体を操作しているな。指が人知れず動いたと思ったら画面にはあるサイトが掲示されていた。
『この、さいとでは沢山の人間が情報交換をしているらしいが…ああ、あった。これを見てみろ』
下に高速でスクロールしたと思ったらあるところでぴたっと指が止まる。
「……日付は二日前、結構最近の投稿だな。えーっと何々? 「東京都内犯罪率最下位の桑田区の桑田駅周辺、犯罪率が低すぎて普段から家の鍵をかけない人が多いの知ってる?】うーん、なんか犯罪者予備軍が集まりそうな投稿だな。で、これがどうかしたの?」
『これを投稿したのが奴だ』
「は?」
『匂いで分かる。そして奴の考えを予想しこの情報と照らし合わせると絶対にここ、桑田駅付近の家に住み着いているという結論に行きつくわけだ。実際に、かすかだがここら辺は匂いがある。しかし私が追ってきていることに気づいてからは気配を上手く消してきて中々に見つからないのが現状だがな』
「匂いがネットを挟んで届くとか、どんだけ臭うんだよ、、」
意味不明さに呆れながら僕は改めて思った。こいつは間違いなくネコではない。だとしたら一体何なのだろう。……はあ、悩むだけ無駄だな。
「で、どうするんだ?」
『目星はいくつか付けてある。そして今から、最も可能性が高い家に行く』
そう言ったと思ったら僕の体は勝手に動き出した。はいはい、僕のパイロットは君です。好きにしてください。