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5話 基本朝は起きれない

由希の家を訪れて美月さんや由希、そしてメイドのリンさんと話した日から数日、俺は例によって今日も朝起きることができなかったようだ。


「起きてくださいー!ハルくーん?聞こえてますかー?」


今日も今日とて栞ちゃんが俺を起こしに来た。いつもならもう少し寝かせてくれと抵抗するところだが…今日は記念すべき初登校の日である。流石にそろそろ起きないとやばい…。


「わかった…。起きるから…ありがとね起こしてくれて。でももっと早く寝るんだったなあ…。」


「今日もまた夜更かししたの?早く寝た方がいいって散々言ったのに…。」


し、仕方がないんですよ…面白い映画をまた見つけてしまったんだから…。


「ま、まあとにかく着替えるよ。大地と由希と待ち合わせしてるんだ。流石に初日から遅刻はできないからね。」


「急いでね!お母さん朝ごはんもうとっくにできてるってよ!」


そう言われて初めてちゃんと時計を見ると、もう7時半を過ぎていた。


あ、これほんとにまずいや…。



慌てて準備を終えてリビングへと降りるとテーブルの上には食事が用意されていた。


こっちに戻って何日か経ったけどやっぱり食事があるってのはありがたいな…。


「感謝してくれるのは嬉しいけどね、急いで食べなきゃ間に合わないんじゃない?初日から遅刻なんてなったら流石にかっこ悪いわよ。」


「分かってるって!俺もそろそろ焦り出してるよ!でもまだ歩いて通えるところでよかったよ、まじで。毎朝これ以上早く起きるのは多分無理だわ。」


うん、ほんとに無理だわ。俺朝が苦手かもしれないです、時差ボケを言い訳にできてた頃が懐かしいよ。


「じゃあハルくん、私先に家出るからね。次は一緒に家出ようね!」


「い、行ってらっしゃい! 気を付けてな!」


栞を見送りつつ俺も慌てて食事を終わらせる。


「それじゃあ俺も行ってくるよ。なんとか間に合いそうだしよかった、ありがとうね。」


「はいはい、気を付けてね。多分初日だし大変だろうけど頑張って!」


母さんに見送られながら俺は家を出て待ち合わせ場所へと向かう。




「あ、やっと来たー!初日から遅刻するかと思ったよ。大地くんなんて一番に来てたんだよー。」


「由希ちゃん、遥が朝の集合に遅刻10分以内に来れたなら上出来だよ。一人だったらまず起きれていないんだから栞ちゃんにちゃんと感謝しなね。」


「ご、ごめんなさい…。明日からは気を付けます…。」


朝から怒られ若干萎えるけどまず間違いなく俺が悪いからなんも言えん…。


「てかハルはさ、変装とかはしないの…?自分が結構話題になってることは知ってるよね?ニュースにもなってたしさ。」


「いやーそれがさ、街を出歩いてても誰も話しかけてこないんだよ。だからきっとそこまでなのかなって。それに学校通うのに変装なんてしてたらきりがないしね!」


そう言うと二人ともがちょっとだけ冷たい目で見た後に二人で話し始めた。


「ね、ねえ私変なこと言ってる?」


「ううん、けどあいつ向こうでもそうだったから。最後の方は一人で出歩くの禁止になったけどね。それにこっちに帰国したとは言ってもまさか街中をうろついてるとは思わないから堂々としてるのが意外に正解なのかもね…。」


こそこそ話してると気になるんだよね…。


少しの間密談が終わるのを待っていると、


「よし!じゃあ行こうか!もう考えてもしょうがないもんね!」


「うん…まあそうだね。遥さ、絶対正式にこっちでの活動を開始したら一人でフラフラ出歩くの禁止されるからね。」


そんなあ…。俺の趣味なんて映画、音楽、散歩くらいなのに…。





ーー


その後も今後注意することなどに関して半分説教のようなことを受けながら登校し、無事学校までついた。


「それじゃ由希、またあとでね。俺らは一回職員質室まで行かなきゃだから。」


転入組である以上まずは先生に挨拶ってことだな。


「うん、またね。教室で待ってる!」


由希ちゃん笑って手を振って見送ってくれた。

うん、かわいいね。こんな青春が待ってるなら帰国してよかった!


「さ、遥くん浸るのはいいけど早く行くよ。先生待たせたらよくないからね。」


それだけ言うと大地は俺を置いていく勢いで歩きだした。


なんだよ、最近厳しいよ君…。いや言ってることは正しいんだけどさ。




そんな風に話しながら俺たちは職員室に入る。


「失礼します。今日から編入?する予定なんですけど…。」


俺たちが職員室のドアを開けると部屋中がざわついたのがわかる。


「うそ…やっぱり彼が編入生なんですか!?私ニュースで見ましたよ!」

「どこのクラスですか!うちですか!せめて一人ください!」

「ていうかこんな男子二人一気になんて大騒ぎですよ!」


わあ、なんか大騒ぎになっちゃった…。


「遥…これ教室大丈夫かな…?僕もうちょっと憂鬱なんだけど…。絶対一人にしないでよ!」


そう言って大地が俺の腕にしがみついてくる。


てっきり学校では他人みたいな扱いかと思ったから嬉しいな。


「てっきり嫌がられると思ってたよ。てかなんかちょっとかわいいのやめてくれよ。」


「うるさいなあ…。女の子はちょっと苦手だけどさ、一人だともっと怖いんだよ。僕も女の子に慣れようと思ってはいるけど…とりあえず今日は君が全部対応してくれよ。」


こいつ俺を盾にする気か…。まあいいけどさ…!


「二人ともこっちまで来てくれるか?私は君たちの担任になる相原だ。こんなに騒がしくなってすまない。知ってると思うがもともとうちは男子が少ないんだ、そこにこの時期二人も来るってなったら…まあこうなる。正直私も甘くみてたようだ、君たちのことをこうして生で見ると生徒たちの沸きっぷりがはっきりと想像できるよ。職員室でこの有様だから君たちも予想はできるだろうけど…。」


「相原先生!テンション上がってるのは生徒だけじゃないですよ!私たち教員も正直緊張してますから!」


「斎藤先生、恥ずかしいので静かにしていただけますか。というかそんなにはしゃがないでくださいよ…。」


このやり取りだけで相原先生の方がまともなのがわかるな。絶対にこっちの先生が担任でよかった!


「とりあえずそろそろホームルームだから行こうか。どうせ紹介するなら早い方がいいしな。あ、仮にどんなリアクションでもあいつらのことを嫌ったりはしないでやってほしいんだ。」


まあこれからクラスメイトになる相手をむやみに嫌いにはなりたくないしな。それに由希の友達もいるわけだし、むしろ嫌われないようにしないといけない。


「大地さ、しんどかったら言えよ。別にお前が無理する必要はないんだからさ。」


「ありがとう。でも頑張るよ、いつまでも女性が苦手なんて言ってられないからね。それに君の芸能活動が開始してそれを手伝ってたら僕も女の人と関わることも増えるしね。」


マジでいいやつだよな…。由希の友達とかならもしかして話せるかな、無理はさせられないけど心配しすぎるのもよくないよな。


「話してるところ悪いんだけど、もう着いたぞ。ここが君たちのクラスになる2年2組だ。君らの他にも二人男子がいるから仲良くやってくれ。…それじゃ私が先に入るから、呼んだら入ってきてくれ。」


そう言って相原先生が教室のドアを開け教室へと入っていった。


「みんなー今日から転入生が来ます!前から言ってたことだが男子が二人です!」


その宣言にクラス中が大盛り上がりしている。なんかハードルが上がっていっている気がしてちょっと緊張する。


「はいはい静かに!これから二人を呼ぶわけだけどそんなに騒ぐなよ!お前らみんな嫌われたくなかったらな。…よし、じゃあ入ってくれ二人とも。」


呼ばれたので俺たちは教室へ入る。


「あ、どうも。今日からクラスメイトになる宮島遥です、よろしく。」


「同じく佐野大地です、よろしくお願いします。」


少しの静寂のあと歓声や悲鳴に近いものが教室中に響いた。


「まじ!?本物のハルカくん!?」

「いやそもそも実在してたの!?クラスメイト!?」

「てか隣の子もばちくそイケメンじゃん!何いいの!?」


わーよかった好評みたいで。大地はもう既に死にかけてるけどさ。




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